給湯と給電が可能なガスコージェネ、ホンダが最も小型の機器を開発スマートグリッド

ガスを利用した国内のコージェネレーションシステムには主に2つの製品群がある。燃料電池を利用した「エネファーム」と、ガスエンジンを利用した「エコウィル」だ。本田技研工業はエコウィルに利用するガスエンジンに改良を加え、発電効率と一次エネルギー利用効率を高めた。家庭用コージェネレーションシステムとしては最も小型だという。

» 2011年05月24日 08時00分 公開
[畑陽一郎,@IT MONOist]

 本田技研工業は、2011年5月23日、ガスを使って発電し、排熱を利用して給湯が可能な家庭用据え置き型コージェネレーションシステム「エコウィル(ECOWILL)」の改良版を開発し、各ガス事業者への販売を開始すると発表した。現在販売されている据え置き型コージェネレーションシステムと比較して最も小さいという。

 エコウィルは都市ガスやLPガスの供給を受け、内蔵する4ストロークガスエンジンの機械的な動作によって発電し、エンジン内で燃焼したガスが生み出す排熱によって給湯する一般家庭向けのシステムだ(図1)。

ALT 図1 エコウィルの利用形態 家庭用ガス管と接続し、給湯ユニットに温水を供給するほか、商用電力と系統連系して宅内に給電できる。図中左がコージェネレーションユニット「MCHP1.0K2」。寸法は750mm×580mm×298mmと小さい。発電出力は1.0kW、熱出力は2.5kW。

温水主体で小型か、発電効率の高さか

 ガスを利用して電力と温水を得るコージェネレーションシステムにはエコウィルの他に、固体高分子形燃料電池(PEFC)を用いた「エネファーム」がある。エネファームと比べたエコウィルの利点は「システムが軽く薄型であるため、一般家屋への設置性が高いこと、熱の回収率が高く熱出力が大きいこと」(本田技研工業)。さらに起動停止の時間が短く、起動停止用のエネルギーが不要であるため、停電やガス供給停止時の緊急対応性に優れるという。

 一方、エネファームは発電効率が高く、1kWを超える発電が可能で、CO2(二酸化炭素)の削減率が高いことが利点である。動作時の騒音はエコウィルが43dB、エネファームが40dBである。

 どちらの製品もガス会社などが最終消費者に販売するため、価格はさまざまである。例えば東京ガスとパナソニックが共同開発し、2011年2月に発表した発電定格出力750Wのエネファームの価格は276万1500円だ。東京ガスが販売する発電定格出力が1.0KWの従来型のエコウィル(発電ユニットGEH-0106ARS-Kと貯湯ユニットGCT-C08ARS-AWQの組み合わせ)の価格は87万450円であり、半額以下だ。

ガスエンジンの改良により、エネルギー利用率を92%へ向上

 エコウィルのコージェネレーションユニット「MCHP1.0K2」は「EXlink(Extended Expansion Linkage Engine)」(図2)と呼ぶガスエンジンの他、排気熱交換機、交流発電機であるオルタネーター、系統連系に必要なインバーターなどの部品を内蔵する。

ALT 図2 ガスエンジン「EXlink」の構造 ピストンとクランクシャフトを接続するコンロッドという一般的なエンジン構造に対して、トリゴナルリンク(図中、コンロッドの右側)とスイングロッド、エキセントリックシャフトと呼ぶ3つの部品を追加した複リンク構造を採る。複リンク構造を採用したことで、4ストロークサイクルのうち、吸気・圧縮行程ではピストンの移動量であるストロークが短く、膨張・排気行程ではストロークが長くなる。この効果によって膨張比が高くなり、一次エネルギー利用効率が高まったという。

 MCHP1.0K2では主にEXlinkと発電機技術の改善により、従来モデルのエコウィルに比べて、発電効率が22.5%から26.3%まで3.8ポイント改善した(水蒸気の凝縮潜熱の効果を含まない低位発熱量での比較、出力1KW+2.5kW時)。加えて、熱交換システムの改善により、ガスの燃焼から得られる一次エネルギーの利用効率が従来モデルのエコウィルと比べて85.5%から92.0%へ、6.5ポイント改善した(低位発熱量)。

 発電効率や一次エネルギーの利用効率が高まったことで、火力発電と都市ガス利用の給湯器という組み合わせに対して、光熱費を年間約5万円節約できると主張する。

さいたま市とスマートホームシステムの実証実験を開始

 同社はさいたま市が進める「E-KIZUNA Project(イー・キズナ・プロジェクト)」の共同推進に関する協定書を2011年5月23日に交わしたと発表した。

 同プロジェクトでは、都市環境下における電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、電動二輪車、高齢者向けの電動式カートの実用性検証に加えて、本田技研工業のエネルギー創出技術の実証実験を進める。

 具体的には、同社の子会社であるホンダソルテックが製造販売するCIGS太陽電池や、今回発表したエコウィルを設置したスマートホームを2012年春を目標にさいたま市内に建設する(図3)。

ALT 図3 E-KIZUNA Projectの概要 太陽電池とコージェネレーションユニットの出力(電力)をホームバッテリユニットや電動二輪車などに蓄える。電力の需給はエネルギーマネジメントシステムによって管理する。災害時には家庭単位で自立できるという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.