熊本氏はamadanaが取り組むオープンイノベーションの実例として、同社が2013年12月に立ち上げたスマートプロダクトの“共創”プラットフォーム「amidus(アミダス)」を紹介した。amidusは、クリエイター、ユーザー、企業がアイデアを出し合いながら製品開発を行うプラットフォーム。その開発過程は全てWeb上で公開されていく。現在、生活家電から電気自動車まで、さまざまなプロジェクトが進行しているという。
熊本氏はamidusについて「amidusは共創の場であり、企業が失敗できる場所でもある。日本の企業は失敗できない体質になってしまった。もしamidusで作った製品が売れなかったら、それは私たちの責任にしてもらって構わない。今、日本の企業にとって重要なのはトライ&エラーなのではないか」と説明する。
また同氏は、こうしたオープンイノベーションを取り入れたモノづくりについて「既に完成した製品を市場に出すのではなく、アイデアの段階からオープンにすることが当たり前の時代。公開したアイデアに、興味を持ったユーザーが“ファン”としてお金やアイデアを出す。そのファンたちがWeb上で情報発信することで、アイデアがニュースになる。そこに技術をもった企業が参加するというスタイルが米国ではトレンドになりつつある。これは従来の日本メーカーとは真逆のスタイル」と語る。
熊本氏は、「全てがコモディティ化して、新しいものが生み出しにくいという閉塞感がある。自分はイノベーションはよそ者にしか生み出せないと考えている。なぜそう言い切れるかというと、自分がメーカーに勤務していた時、ブラウン管テレビを開発していたエンジニアは『薄型のテレビがブラウン管の画質を超えることはない』と語っていた。しかしその後、ブラウン管テレビを作る技術を持っていなかったメーカーが液晶テレビを開発し、どんどん淘汰されていった」と語る。
こうした体験を背景に、「あるカテゴリーにイノベーションが起きる時、技術を持っている人が突然弱い立場に追い込まれる。Apple(アップル)はガラケーを作っていなかったから『iPhone』を開発できた。だから自分は、よそ者と手を組んで、新しいことをやっていくのが重要なのではないかと感じている」と語った。
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