オートデスクは開催中のユーザーイベント「Autodesk University 2014」で製造業向けのクラウドサービスを積極的に強化していく方針を示した。
米Autodeskは2014年12月2日(現地時間)、同社のユーザー向けイベント「Autodesk University 2014」(米国ラスベガス、会期2014年12月2〜4日)で、同社が展開する製造業向けアプリケーションのクラウド対応を強化する方針を示した。
同社では製造業向けのアプリケーションベンダーとしては早期にクラウドサービスへの対応を進めてきており「クラウド、ソーシャル、モバイルへの対応は避けられないものだと考えている。これらへの移行は必ず進んでいく。そのため、これらへの対応は積極的に進めていかなければならない」(米Autodesk社長兼CEO カール・バス氏)との考えを示している(関連記事:「クラウド・ソーシャル・モバイルへの対応は必須だ」――オートデスクCEO)。
これらの流れのもと、新たにCAD、PLM、CAMについて、クラウドサービスへの対応範囲を拡大。より積極的にWebベースでの活用を進めていく方針だ。
既にクラウドサービスとして提供している3次元CAD/CAMの「Autodesk Fusion 360」(以下、Fusion 360)については、新たに2015年中にWebブラウザ版を提供する。Fusion 360は、概念設計から生産設計までを網羅。コンセプトデザインから詳細設計、生産設計までをクラウド上で行うことが可能。現在は英語版・中国語版のみを提供している(日本語版の提供時期は未定)。新たにWebブラウザ版を提供することで、端末も問わずに利用可能となり、より自由度を高めることができるとしている。
また、新たに製造業向けパッケージ「Autodesk Product Design Suite」のメンテナンスサブスクリプション契約者に2015年1月15日からFusion 360の提供も開始する。
一方、既に英語版のみで展開中の製品ライフサイクル管理クラウドサービス「Autodesk PLM 360」についても機能を強化。新たにCADデータを管理するPDM機能をクラウドで提供。これにより、編集中のCADデータのバージョンを管理できるようになるという。また、モバイル端末で利用できるアプリも提供開始している。
さらに、2013年に発表したクラウド型CAMを「Autodesk Inventor」に統合したクラウド型CAM「Autodesk Inventor HSM Pro 2015」を発売する。日本語版の発売は2014年12月15日だとしている。
同社では2013年、買収したCAMベンダーHSMWorksの技術を生かし、CAM製品への初参入となる「Autodesk CAM360」を発表(関連記事:オートデスク、クラウドベースCAMへの参入を発表)。同技術を組み込み、さらに3次元CAD「Autodesk Inventor Professional」のインタフェースと同様の使い勝手でツールパスを作成することを可能とした。また、5軸等高線加工と5軸スワーフ加工の機能、3軸等高線加工用5軸チルト機能、5軸加工シミュレーション機能などが追加されたという。
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