田中貴金属工業は、3Dプリンタ向け白金基金属ガラスの粉末開発と造形に「世界で初めて」(同社)成功したことを発表した。
田中貴金属工業は2014年11月18日、3Dプリンタ向け白金基金属ガラスの粉末開発と造形に、「世界で初めて」(同社)成功したことを発表した。
田中貴金属工業は、独自の加工設備を用いて粒径や流動性などを調整することで、既存の粉末焼結式積層法に用いられる3Dプリンタ装置で使用可能な、白金基金属ガラスの粉体化に「世界で初めて」(同社)成功。同時に、白金とイリジウム添加ニッケル基合金の2種の粉末材料の開発も行った。なお、田中貴金属工業は2004年に白金基金属ガラスの組成で特許を取得している。
また、大阪府立産業技術総合研究所と共同研究を行い、粉末の材質と形状に適したレーザーエネルギーの照射条件を解明することにより、白金、白金基金属ガラス、イリジウム添加ニッケル基合金による造形に成功した。3Dプリンタを用いた白金基金属ガラスの造形は「世界初」(同社)だという。
これらの材料を3Dプリンタで造形可能にすることで、これまで実現不可能だった複雑な形状の造形や、溶融温度が異なる異種材料を複合した製品の作成が可能になる。今回の開発により、耐食性が要求される医療材料の多品種少量製造や、耐熱性が要求される自動車産業および航空宇宙産業分野における特殊部品の工業用製品の展開が期待される。
今後、田中貴金属工業では、白金族金属粉末材料の提供に加え、顧客要望に合わせた白金族金属粉末の粒径サイズ加工、白金族合金製造における組成の提案、および造形物の製造を実施。3Dプリンタ用白金族金属粉末材料の提供で、2020年度までに年間売上4億円を目指すという。
なお、田中貴金属工業は、同年11月26〜28日まで、東京ビッグサイトで開催される「国際粉体工業展東京2014 POWTEX TOKYO 2014」に出展。これらの白金族金属粉末材料を初展示した後、同年12月1日からサンプル提供を開始する。
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