中赤外光をプラスチックフレークに照射し、その反射光を解析することで、プラスチックの種類を99%以上の高精度で識別・選別できる。作業はすべて自動で、プラスチックフレーク1個当たり約0.5秒で識別できる。
島津製作所は2014年10月22日、プラスチックの種類を99%以上の高精度で瞬時に識別できる、樹脂識別装置「IRPF-100」を発売した。三菱電機と共同で開発した「リサイクルプラスチック高精度素材識別技術」の成果を基にしたもの。
使用済み製品のプラスチックを再利用するマテリアルリサイクルでは、破砕した使用済み製品から得られる混合プラスチック破砕片(プラスチックフレーク)から高純度な単一素材プラスチックを選別・回収することが重要になっている。しかし、その純度検査は手作業に頼っており、効率性や繰り返し検査精度に課題があるという。
今回開発された装置では、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いて中赤外光をプラスチックフレークに照射し、その反射光を解析。これにより、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)の3つのプラスチックを99%以上の高精度で識別・選別できる。中赤外光を用いて測定するため、近赤外光では難しかった黒色などの濃色プラスチックの識別も可能になった。
また、同一フレーク内の反射光を1フレーク当たり5〜15回測定して総合的にプラスチックの種類を識別するアルゴリズムも開発した。さらに、プラスチックフレークの識別位置への搬送から、識別したプラスチックフレークを種類別に高速に仕分けするところまで、一連の作業をすべて自動で行うことができる。形状やサイズによるものの、プラスチックフレーク1個当たり約0.5秒で識別が可能。表面の状態にもよるが、縦横5〜15mm、厚さ1〜2mmのプラスチックフレークが測定できる。
価格は1850万円(税別)で、発売から1年間で5台の販売を目指すという。まずは、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)で定められたリサイクル基準達成を義務付けられている家電業界を対象とし、今後、自動車リサイクル法でリサイクル義務を負う自動車業界などに向けて展開していく予定だ。
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