ただ、従来取り組んできた構造改革については、徐々に成果が見え始めてきている。分社化したテレビ事業については、第1四半期に続いて、第2四半期も黒字を維持することに成功した。テレビ事業において2四半期連続の黒字を実現したのは11年半前となる、2004年3月期(2003年度)の第3四半期、第4四半期までさかのぼるという。
吉田氏は「構造改革により取り組んできた固定費削減の成果が出つつある他、量を追わなくなったことによる影響が大きい。従来は量を追いその結果作り過ぎて値崩れが発生し、利益体質を崩すというサイクルが起こっていた。今回は販売目標台数については下がっているが、『売れなかった』というよりも市場環境の悪い所にモノを入れないという方針を立てたことによる影響。状況は好転してきているといえる。しかし10年以上赤字を続けてきた事業体でもあるので、年間通じてまだ慎重に見ていく必要がある」と語る。
一方、構造改革フェーズからいち早く抜け出したゲーム分野は好調を持続している。ゲーム&ネットワークサービス分野の2014年度第2四半期は前年同期比83.2%の増収となる3095億円の売上高を達成。PS4のハードウェア、ソフトウェアの販売が好調である他ネットワークサービスである「PS Plus」などの会員数が順調に拡大しており、ネットワーク関連の売上高が成長している。通期目標は売上高を500億円、営業利益を100億円上方修正しており、順調に推移すると見られている。
吉田氏は「収益性だけでなくストリーミングゲームサービスである『PS Now』や、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)とVR(仮想現実)による新感覚のゲーム体験を生み出す『Project Morpheus』など、新たなゲームの世界を切り開くような製品および開発も進められていることは今後に向けて重要だ」と語っている。
ソニーでは構造改革の一環として、本社・間接部門のコストを3割、海外の販売会社のコスト2割を削減すると宣言しており、さらに事業部内コストの削減などにも取り組み、固定費削減を進めている。2014年度下期に向けても同様の取り組みは進む他、新たにモバイル部門の構造改革が加わるため、さらなる人員削減の可能性が残されている。しかし、これらの取り組みにより、既存分野における事業体制としては徐々に筋肉質な体制へと移行が進みつつある。構造改革フェーズをいち早く抜けたゲーム分野のように、テレビ事業、モバイル事業がこの構造改革フェーズをどのタイミングで抜け出せるか、がソニー復活のカギを握っている。
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