「ソウルレッド」の源は「流雅」にあり、匠の13層塗りを量産技術に昇華車両デザイン(2/2 ページ)

» 2014年03月24日 12時20分 公開
[朴尚洙,MONOist]
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「鮮やかな赤」と「深みのある赤」を両立

 流雅レッドは、光が強く当たるハイライト部で鮮やかに発色し、光が当たっていないシェード部では深みのある赤色に変化する。これと同じ現象を一般的な塗装ラインで実現したソウルレッドは、2層で構成されるベースカラーのうち、下層の反射層にアルミフレークを配合したメタリックカラーを、上層の透過層に高彩度顔料で鮮やかな赤色を発色する半透明ソリッドカラーを配した。これによって、光が当たる部分は、反射層のアルミフレークで反射した光により透過層の鮮やかな赤色になり、光が当たらない部分は、透過層と反射層の2種類の赤色が重なり合って深みのある赤色になるのだ。

「ソウルレッド」の目指す赤色(左)と発色イメージ(クリックで拡大) 出典:マツダ

 ただし、このような塗装を量産ラインに適用し、狙い通りの赤色の発色を実現するには、「色ムラの発生」や「厚膜部の色が濃くなる」といった課題を解決しなければならなかった。

 色ムラは、反射層のアルミフレークの並び方にムラがあるために発生していた。そこで、塗料の吹き付け方をより微細にすることにより、アルミフレークが塗装面に対して平行に並ぶようにして解決した。また、さまざまな表面形状を持つボディパネルの塗装では、塗膜の厚い部分が発生しやすくなり、その部分の赤色が濃くなってしまう。そこで、厚膜部が発生しないよう、できるだけ均一な膜厚で塗装できるようにしたという。マツダは、これらの量産塗装技術を「匠塗(たくみぬり)」と呼んでいる。

左の写真は、「ソウルレッド」(中央)と、光が強く当たる部分の発色である「赤ソリッド」(下)、光が当たらない部分の「赤メタリック」(上)を比較した展示。右の写真は、2013年シーズンからソウルレッドを採用している、広島東洋カープの試合用ヘルメットである(クリックで拡大) 出典:マツダ

 匠塗によって実現したソウルレッドは、顧客の支持も得ている。一般的な車両の場合、ボディカラーに赤色を選択する比率は5%程度に過ぎない。しかし、アクセラの場合は、25%もの顧客がソウルレッドを選択している。サステイナブル“Zoom-Zoom”フォーラム2014の参加者からは、「ずっと他社のクルマに乗っていたが、ソウルレッドに一目ぼれしてマツダ車に乗り換えた」という意見も出たほど。

 他の参加者からは、「青色やシルバーでも、ソウルレッドのようなボディカラーは実現できるのか」という質問があった。マツダの説明員からの回答は、「商品企画の予定については話せないが、技術的には赤色以外にも適用可能だと考えている」というものだった。

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