マツダが、「デミオEV」をベースに、走行距離延長装置(レンジエクステンダー)を搭載した「REレンジエクステンダー」。レンジエクステンダーを荷室下部に搭載するための薄型化の決め手は、新開発の排気量330ccロータリーエンジンを横置きにすることだった。
マツダは、「サステイナブル“Zoom-Zoom”フォーラム2014」(2014年3月15〜16日、マツダR&Dセンター横浜)において、電気自動車(EV)「デミオEV」をベースに走行距離延長装置(レンジエクステンダー)を搭載した「REレンジエクステンダー」を展示した。
同フォーラムは、2007年から開催されている一般ユーザーを対象にしたイベントである(関連記事:技術者と直接交流できるマツダの技術フォーラム、意見交換会が白熱)。REレンジエクステンダーは、2013年11月開催の「東京モーターショー2013」で披露されなかったこともあり参加者の注目を集めていた。
REレンジエクステンダーは、2012年7月発表のデミオEV(関連記事:マツダが「デミオEV」を10月からリース販売、100V給電システムも搭載)をベースに開発された車両だ。デミオEVは、容量20kWhのリチウムイオン電池を搭載しており、満充電から200km走行できる(JC08モード)。しかし、リース販売を行ったユーザーを対象にアンケートを行ったところ、70%から「走行距離に不満がある」という回答があった。この走行距離の課題を解決するため、デミオEVにレンジエクステンダーを搭載したのがREレンジエクステンダーである。
レンジエクステンダーは、新たに開発した排気量330ccのロータリーエンジン、ベルト駆動の発電機、燃料タンク、インバータから構成される。デミオEVの荷室下部に設置できるよう、薄型のユニットとなるように設計した。最高出力はロータリーエンジンが22kW、発電機が20kW。燃料タンクの容量は9〜10lである。
薄型化に最も貢献したのは、新開発のロータリーエンジンだ。車両の内燃機関として搭載していたロータリーエンジンは、三角形のローターが地面に対して垂直に回転する縦置きで配置するのが基本だった。今回のレンジエクステンダーでは、従来と比べて排気量が半分程度の小型ロータリーエンジンを、ローターが地面と並行に回転する横置きで配置して、高さ方向の寸法を発電機や燃料タンクなどとそろえることに成功した。「同じ出力のレシプロエンジンの場合、高さ方向の寸法は3倍くらいになってしまう」(マツダの説明員)という。
ベース車両であるデミオEVの車両重量が1180kgであるのに対して、レンジエクステンダーの重量はユニット全体で約100kgと軽量である。燃料タンクが満タンであれば、走行距離はデミオEVの200kmから400kmまで伸ばせるという。
間もなく市販されるレンジエクステンダー搭載EVとしては、BMWの「i3」がある(関連記事:BMWの電気自動車「i3」は軽量化を突き詰めたクルマだった!)。i3は、走行距離が130〜160kmだが、排気量650ccの2気筒の発電用エンジンや容量9lの燃料タンクを搭載するレンジエクステンダーもオプションで用意している。レンジエクステンダーを使えば、走行距離を300kmまで伸ばすことが可能だ。
市販を予定していないREレンジエクステンダーではあるが、レンジエクステンダーを用いた走行距離はi3よりも100km多い。また、レンジエクステンダーの燃費も、小排気量のREレンジエクステンダーの方が良好だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.