マツダは、技術者と一般ユーザーの交流の場として、毎年1回技術フォーラムを開催している。今年は、2012年2月に発売したばかりのSUV「CX-5」を目玉に据えて、CX-5に搭載する新世代技術「SKYACTIV」や安全技術をアピールした。
エコカーと言えばハイブリッド車や電気自動車。トヨタ自動車の「プリウス」、ホンダの「フィットハイブリッド」、日産自動車の「リーフ」、三菱自動車の「i-MiEV」が登場した2009年から2011年前半にかけて、国内自動車市場ではそういったイメージが強かった。この状況を打ち破ったのは、2011年6月に発売されたマツダの「デミオ」だろう。世界一の高圧縮比を実現したガソリンエンジン「SKYACTIV-G」など、燃費向上のための技術を多数搭載し、ハイブリッド車並みの30km/l(リットル)という燃費を達成した。
その後、ダイハツ工業の「ミラ イース」やスズキの「アルト エコ」など、燃費が30km/l以上の車両が続々と発表された。そして、これら最新のガソリンエンジン車は「第3のエコカー」と呼ばれるようになっている。
第3のエコカーの火付け役となったマツダだが、2007年から毎年1回、一般ユーザーを対象にしたイベント「マツダ環境技術フォーラム」を開催している。このイベントは、同社が開発した環境技術を技術者自身が紹介するだけでなく、参加者の質問や意見に技術者が回答するといった直接の交流ができることを最大の特徴としている。
2012年は、環境技術に加えて安全技術も紹介するということで、「サステイナブル“Zoom-Zoom”フォーラム」に名称を変更。同社の先行技術開発の拠点である「マツダR&Dセンター横浜」(横浜市神奈川区)で、3月3日、4日の2日間にわたって開催した。
同フォーラムは、技術者によるマツダの技術紹介、マツダ車の試乗、技術者との意見交換会などで構成される3時間のプログラムとなっている。開催期間の2日間の午前(9〜12時)と午後(14〜17時)で、合計4回のプログラムが行われる。1回のプログラムに約50人が参加できるので、開催規模は約200人となっている。2011年までと比べて2倍に規模を拡大したものの、第3のエコカー人気もあってか1000人を超える申し込みがあったという。筆者が出席した3月3日午前の時間枠は、予定の50人を上回る60人弱が参加していた。
今回の目玉になったのが、2月16日に発売されたばかりのSUV(スポーツ多目的車)「CX-5」に搭載した同社の新世代技術「SKYACTIV」や安全技術の紹介と、そのCX-5の試乗だろう。参加者は、技術紹介やマツダ車の試乗の後に、8つのグループに分かれて技術者との意見交換会に臨んだ。
プレゼンテーション資料を使った技術紹介では、冒頭でマツダの企業概要やCSR(企業の社会的責任)活動を説明した後、SKYACTIVや安全技術について解説した。興味深かったものをいくつか紹介しよう。
技術紹介の後、参加者はCX-5などのマツダ車を試乗した。用意されたCX-5はガソリンエンジンモデルである。残念ながら、CX-5の発表で最も注目されたディーゼルエンジンモデルを試乗することはできなかった。試乗を終えた後は、エンジンモデルや実車両を使ったより具体的な技術紹介が行われた。
最後は、技術者との意見交換会である。参加者は8つのグループに分かれて、各グループを担当する技術者と自由な意見交換を行っていた。技術者に直接質問できる機会がほぼないこともあってか、予定時間になっても意見交換会が終わらないグループがほとんどだった。
意見交換会で出た質問としては、マニュアル式変速機、マツダの独自技術ロータリーエンジン、小排気量のディーゼルエンジンなど、将来技術に関するものが多かったようだ。マツダの技術者は、「導入時期などは明確に答えられないが、参加者の皆様の意見を真摯に受け止めたい」と答えていた。
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