東芝はスマートフォンやタブレットPC向けに、4分の1インチ500万画素のCMOSイメージセンサーを2個搭載したカメラモジュール「TCM9518MD」を製品化する。専用画像処理LSIと組み合わせることにより、被写体との距離情報を測定・出力。撮影後の画像フォーカスの調整や被写体抽出が可能になる。
東芝は2013年9月26日、スマートフォンやタブレットPC向けに、4分の1インチ500万画素のCMOSイメージセンサーを2個搭載したカメラモジュール「TCM9518MD」を製品化し、2014年1月にサンプル出荷を、同年4月に量産を開始すると発表した。サンプル価格は5000円で、量産時は月産50万個を計画する。
2個のカメラと同社独自開発の画像処理LSIにより、広い撮影範囲の被写体にピントを合わせた画像(ディープフォーカス画像)を出力できる。同時に、各被写体までの距離を計測・出力することで、距離情報に基づき、画像撮影後に任意の被写体に限定したピント合わせ(リフォーカス)や、ぼかす、消すなどの加工・編集が行える。組み合わせるアプリケーションによりさまざまな機能が実現できるとし、「こうしたカメラモジュールは業界初だ」(同社)という。
独自開発の画像処理LSIは、500万画素カメラ2個で撮影した画素情報を基に、現在多くのスマートフォンに搭載されているオートフォーカスカメラモジュールと同等の1300万画素出力を実現する。1300万画素カメラモジュール1個よりも厚みが薄くなり、搭載機器の薄型化に貢献できるとする。
さらに、現在スマートフォンなどに搭載されている多くのカメラモジュールはVCM(Voice Coil Motor)などのレンズ動作機構を採用したオートフォーカスタイプであるため、シャッターボタンを押してから撮影まで時間がかかるケースがある。これに対し、同製品はデジタルフォーカス機能を搭載することで、任意の被写体までの距離を計測し、ピントを高速に合わせることが可能だ(ただし、デジタルフォーカス機能使用時はディープフォーカス画像の出力は行えない)。
近年、レンズ、絞りなどの光学系ハードウェア技術と高度な画像処理を用いて、従来のカメラでは不可能だった画像を作り出す“コンピュテーショナルカメラ”の開発が進められている。同社は、高解像度を備えたコンピュテーショナルカメラを支える製品を展開することで、スマートフォン、タブレットPC向けCMOSセンサーの売上拡大を目指すという。
品番 | TCM9518MD |
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出力画素数 | 1300万画素 |
搭載カメラ解像度 | 500万画素×2個 |
光学フォーマット | 4分の1インチ×2個 |
画素サイズ | 1.4μm |
モジュールサイズ | 8.0×12.0×4.65mm |
表1 主な製品仕様 |
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