ここまでの比較からは、DAYZとeKワゴンが競合3車種を上回っているのはJC08モード燃費だけだ。しかし、全てのモデルに標準搭載されている装備や、DAYZのXグレード、eKワゴンのMグレードとGグレードといった上位モデルに搭載されている装備が大きな差異化のポイントになっているのだ。
まず、全てのモデルの標準装備としては、急ブレーキやABS(アンチロックブレーキシステム)の動作時にハザードランプを高速点滅して後続車両に知らせる「エマージェンシーストップシグナル」がある。N-ONEが軽自動車で初めて標準装備したことで話題となった。
シート生地には、エンボス加工による立体的な表皮による「見た目の柔らかさ」と、起毛処理を施したことによる「触れたときの柔らかさ」の両方を実現したソフトファブリックを採用。後部座席のクッション前部は、ふくらはぎをサポートするような前傾斜形状を持ち、メイン生地も張り込んであるので着座時の快適さが増すという。
DAYZのXグレードとeKワゴンのMグレードとGグレードは、大型のタッチパネル式の操作画面を持つオートエアコンを装備している。センタークラスターの下部、シフトレバーの隣に位置しており、タブレット端末のように直感的な操作が行える。主婦層への販売促進を狙って、紫外線の遮断率の高いUVカットガラスを全面的に採用した。遮断率は、フロントドアが約99%、フロントウィンドウが約100%、リヤドア/クォーター/テールゲートは約94%となっている。さらに、身長の大小関係なく最適なドライビングポジションを定めやすくするチルトステアリングやシートリフターも装備している。
ここまで紹介した装備を持つeKワゴンのMグレードの価格(2WDモデル)は112万5000円である。同等の装備を持つ競合車種としては、N-ONEの「G・Lパッケージ」があるが、価格は124万円である。プッシュエンジンスタートやスマートキー、インテリアやエクステリアのクロームめっき加飾はeKワゴンのMグレードにはないが、10万円以上の価格差に相当するとは考えにくい。
最上位のDAYZのXグレードとeKワゴンのGグレードは、車載カメラとディスプレイ付きの自動防眩式ルームミラーを用いた、駐車時などの周囲確認機能を標準装備している。通常は、別売りの車載カメラや対応カーナビゲーションシステムを購入して実現する機能である。DAYZのXグレードは、4個の車載カメラを使って車両の上からの視点で周辺を確認できる「アラウンドビューモニター」の映像を表示できる。eKワゴンのGグレードは、通常のバックモニターの映像しか表示できないが、DAYZが全グレードで2個しか持たないスピーカーが4個になり、本革巻きステアリングとアルミホイールも付く。
これらの装備を持ちながら、DAYZのXグレードは122万100円(2WDモデル)、eKワゴンのGグレードは124万円(2WDモデル)となっている。これに対して、競合3車種の上位モデル(2WD)の価格は、エアロ形状のバンパーやスポイラーを装備するワゴンRの「FXリミテッド」が124万9500円、スマートアシストを搭載するムーヴの「X“SA”グレード」が125万円、先述したN-ONEのG・Lパッケージが124万円である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.