「DAYZ」と「eKワゴン」を競合3車種と比較、装備充実の上位グレードがお買い得月間販売目標台数は合計1万3000台(1/3 ページ)

日産自動車と三菱自動車は、両社で共同開発したハイトワゴンタイプの軽自動車「DAYZ」と「eKワゴン」を発売した。競合となる「ワゴンR」、「ムーヴ」、「N-ONE」と比較したところ、装備が充実した上位グレードのお買い得感が高いことが分かった。

» 2013年06月07日 07時00分 公開
[朴尚洙,MONOist]
「DAYZ」と「eKワゴン」

 日産自動車と三菱自動車は2013年6月6日、両社で共同開発したハイトワゴン(トールワゴンとも)タイプの軽自動車を発売した。日産自動車は、通常モデルの「DAYZ」とカスタムモデルの「DAYZハイウェイスター」、三菱自動車は通常モデルの「eKワゴン」とカスタムモデルの「eKカスタム」を販売する。月間販売目標台数は、DAYZとDAYZハイウェイスターで8000台、eKワゴンとeKカスタムで5000台、合計で1万3000台である。税込み価格は、DAYZが106万7850〜148万4700円、DAYZハイウェイスターが123万7950〜156万7650円。eKワゴンが105万〜133万5000円、eKカスタムが126万9000〜154万6000円。

 今回共同開発した軽自動車は、両社が折半出資して2011年6月に設立した合弁企業NMKVが独自開発した車両の第1弾となる。車両名称は異なるものの、パワートレイン構成やプラットフォームは同じものを使用している。このため外形寸法や車室内寸法、エンジン性能、燃費性能などは共通している。ただし、フロントフェイスのデザインや、安全/快適装備については異なる部分もある。

日産自動車の「DAYZ」(左)と三菱自動車の「eKワゴン」(クリックで拡大) 出典:日産自動車、三菱自動車
日産自動車の「DAYZハイウェイスター」(左)と三菱自動車の「eKカスタム」(クリックで拡大) 出典:日産自動車、三菱自動車

軽量化/新型エンジン/アイドルストップで燃費はクラストップ

 外形寸法は、全長3395×全幅1475×全高1620mm。室内寸法は、室内長2085×室内幅1295×室内高1280mm。ホイールベースは2430mmとなっている。

 車両重量は、アイドルストップシステムを搭載する2WDの中核モデル(DAYZは「Sグレード」と「Xグレード」、DAYZハイウェイスターは「Xグレード」、eKワゴンとeKカスタムは「Mグレード」と「Gグレード」)で830kgと軽量である。全高が1600mm以下ともう少し小型だったeKワゴンの従来モデル(日産自動車にもOEM供給されており車名は「オッティ」だった)の車両重量である828kgとほぼ変わらない。

 この軽量化は、引っ張り強度が980MPa級の超高張力鋼板(超ハイテン)や、同590MPa級の高張力鋼板(ハイテン)などの採用によるものだ。ボディの鋼材使用量をみると、超ハイテンが4%、ハイテンが52%、引っ張り強度が440MPa級の普通鋼板が44%となっている。これにドアやシート、エンジン、サスペンションなどの構造合理化による軽量化も加えて、約50kgの軽量化効果が得られているという。

 パワートレインは、新開発の直列3気筒エンジン「3B20」と、2012年9月発売の小型車「ノート」などにも採用された副変速機付きエクストロニックCVT(無段変速機)から構成されている。3B20は、軽自動車用エンジンとして最も高い12.0という高圧縮比を実現している。また、国産車で初となる電子制御サーモスタット、軽自動車として初となる水冷式EGR(排気再循環)クーラーを搭載した。電子制御サーモスタットによってエンジンを低温に保つとともに、水冷式EGRクーラーによって燃焼室内の混合気の温度を下げて、耐ノッキング性を向上した。インテーク形状や可変バルブタイミングの最適化の効果も加えて、燃焼効率を大幅に高めたとしている。

 この他、EGRバルブの採用による吸排気損失の低減などよってエンジンの損失を減らした。燃料ポンプのモーター電圧の制御最適化やオルタネータの発電電圧の可変制御といった電気エネルギーマネジメントも導入している。

 新型車への搭載が当たり前になっているアイドルストップシステムは、停車前にブレーキを掛けて時速13km以下になるとエンジン動作を停止するコーストストップ機能を搭載した。再発進時のエンジン始動までの時間も0.4秒と短い。

「DAYZ」と「eKワゴン」のアイドルストップシステムの動作イメージ 「DAYZ」と「eKワゴン」のアイドルストップシステムの動作イメージ(クリックで拡大) 出典:日産自動車

 軽量化や、新開発のエンジンとアイドルストップシステムにより、JC08モード燃費は29.2km/l(リットル)を達成した。これは、競合車種であるスズキの「ワゴンR」やダイハツ工業の「ムーヴ」を上回り、ハイトワゴンタイプの軽自動車の燃費でトップに立つことになる。

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