カルソニックカンセイは、高級車、中位の車両、普及価格帯の車両それぞれに最適なコストで、コックピットモジュールの樹脂構成部品であるインストルメントパネル(インパネ)の表皮をソフト加工する技術を展開している。
カルソニックカンセイは、「人とくるまのテクノロジー展2013」(2013年5月22〜24日、パシフィコ横浜)において、コックピットモジュールの樹脂構成部品であるインストルメントパネル(インパネ)の表皮で高触感を実現するための技術を展示した。
同社は、樹脂の射出成形によって製造されるインパネについて、ドライバーや乗員が触れる際により良い触感が得られるように、インパネの表皮をソフト加工する技術を開発している。今回の展示では、高級車、中位の車両、普及価格帯の車両それぞれに最適なコストでインパネ表皮をソフト加工できる技術を紹介した。
高級車向けでは、日産自動車の「フーガ」に採用された「ウレタン成形表皮ソフトIP(インパネ)」がある。インパネ本体の上に成形するウレタンについて、本革張りと同様な触感が得られるよう、表層近くは密/内部は粗という2層構造を採用。さらにその上に、指紋の間隔に近い表面凹凸を持つパッドを成形するというもの。インパネ本体、ウレタン、表面パッドの3層構造になるため、比較的コストは高い。
中位の車両向けとなるのが、日産自動車と共同開発した「射出成形表皮ソフトIP」がある。同社の「シルフィ」を皮切りに、グローバルで幅広い車種に採用される見込みだ。これまで高級車や中位の車両に用いていた、加熱した金型に粉状の樹脂を付けて成形するパウダースラッシュ成形表皮ソフトIPと同等の触感を、インパネ本体と同じ射出成形で実現できる。汎用設備である射出成形機で加工できるので、海外の生産拠点に展開しやすい技術である。ただし、ソフト表皮を成形する際にはインパネ本体とは別の樹脂を使うので、その分の追加コストが発生する。
最後は、インパネ本体の表面加工を工夫して高触感を実現する、普及価格帯の車両向けの「ソフトフィール・ハードIP」である。2012年9月発売の小型車「ノート」に採用された。「従来、普及価格帯の車両向けでは、インパネ本体に革シボの表面加工を施すだけだった。この革シボの表面凹凸形状について、平坦な部分を増やすと、高触感を得られることが研究から分かってきた。ただし、平坦な部分を増やすと表面光沢が増えてしまい、フロントガラスへの照り返しなどの問題を引き起こす。そこで、平坦な部分の表面にさらに微細なシボ加工を施すことで、低光沢と高触感を両立させた」(カルソニックカンセイ)という。
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