最高得点を獲得したのは、大阪工業大学の合同チーム「O.I.T. Trial」だった。同チームは、工学部のロボット「ASAHI」と情報科学部のロボット「昴」の2体で出場。それぞれの得意分野で競技に参加していた。ASAHIは、車輪型ロボットに小さなロボットアバターを搭載しているのが特徴。ロボットアバターは頭と両腕、胴体の計5軸を備え、ユーザーとの親和性の高い対話を行う。例えば、ユーザーが「そこに行って」と命令すると、画像認識でユーザーが示している方向を認識して、ロボットアバターが腕で同じ方向を指しながら「そこですか?」と確認するという具合だ。
昴は、Final Missionで、認知機能リハビリテーションをテーマに遠隔調理リハビリのデモンストレーションを行った。これは生活の基本となる“食行動”を自分で行うことで、機能補完とともに生活のモチベーションを向上させるという試みだ。高齢者がロボットのアドバイスに従って調理していくのだが、その過程で「今度は、ネギが上手に切れましたね」と褒めてくれたり、「包丁の置き方が危険ですよ!」と注意してくれたりする。
前述の通り、競技初日は、出てくるロボットのほとんどが“動かない”ので、どうなることかとヒヤヒヤした。その“動かないっぷり”を何度も見てきただけに、音声認識に成功したロボットや、人に追従して動くロボットを見ると、自然とうれしさがこみ上げた。
順位 | チーム名 | 所属 | 競技者数(人) |
---|---|---|---|
優勝 | O.I.T. Trial | 大阪工業大学 | 20 |
準優勝 | aiRobots | National Cheng Kung University | 10 |
第3位 | Karaage++ | 電気通信大学 | 9 |
表1 ロボカップジャパンオープン2013東京 @HOMEリーグの大会結果 |
私たちユーザー(消費者)は、メーカーが製造・販売する“完全に動く製品”に慣れているので、「モノは動いて当然」という意識を持っている。しかし、こうした競技会・シンポジウムを見学(取材)してみると、基礎技術の研究と長い試行錯誤があってこそ、新しい技術を搭載した製品が完成するのだなと、あらためて実感することができた。
ロボットと暮らす生活は、“まだまだ遠い夢の話”かもしれない。しかし、研究を続ける人がいる限り、家事やコミュニケーションを自在にこなしてくれる、家庭用サービスロボットが生まれる日は必ずくるだろう。
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