電気自動車(EV)ベンチャーのグリーンロードモータースが、EVスポーツカー「トミーカイラZZ(ズィーズィー)」を公開した。京都の企業の部品を用いて開発した京都発のEVとなっている。同じくEVスポーツカーから市場参入し、現在成功を収めつつあるTesla Motors(テスラ)に続けるのか注目だ。
電気自動車(EV)ベンチャーのグリーンロードモータースは2013年4月2日、同社が開発したEVプラットフォームを用いたEVスポーツカー「トミーカイラZZ(ズィーズィー)」を公開した。価格は800万円(税別)。同年4月26日から予約を受け付けるが、Webサイトでは既に先行予約が始まっている。4月中に予約した顧客には秋頃に納車される予定。2013年度は99台限定で販売する計画である。
トミーカイラZZは、京都市内に本社を置くトミタ夢工場が手掛けた、ガソリンエンジンを搭載する2人乗りのスポーツカーである。生産台数は200台程度と少ないものの、車両重量が軽いライトウェイトスポーツカーとして知られる。2003年にトミタ夢工場が倒産した後も、スポーツカーファンの間で復活を期待されていた。
今回公開したトミーカイラZZは、ガソリンエンジン車ではなく、モーターと電池で走行するEVに生まれ変わった。グリーンロードモータースが開発したEVプラットフォームにボディカウルを取り付ける形で生産される。外形寸法は全長3870×全幅1740×全高1140mmで、車両重量はEVとしては極めて軽量な850kgを実現している。最高出力は225kW、最大トルクは415Nmとスポーツカーとして十分な性能を有している。時速0〜100kmの加速時間も3.9秒と短い。
電池容量は公開していないものの、満充電状態からの走行可能距離は120kmである。充電時間は、急速充電で1時間。満充電状態から200km走行できるように電池容量を増やすこともできる。
EVとなったトミーカイラZZの最大の特徴は、京都発であることだ。もともとのガソリンエンジン車を開発したトミタ夢工場や、今回のEVスポーツカーを開発したグリーンロードモータースは京都の企業である。また、トミーカイラZZを構成するほぼ全ての部品を、京都の企業が供給している。例えば、リチウムイオン電池は、京都に本社を置くGSユアサを親会社とするリチウムエナジー ジャパン製である。グリーンロードモータースの出資企業の1社で、京都の企業でもあるニチコンは、三菱自動車の「i-MiEV」に車載充電器を供給するなど、EV向けの部品を多数有している、
グリーンロードモータースが、EVスポーツカーから市場参入する点も興味深い。EVベンチャーとして成功を収めつつあるTesla Motors(テスラ)も、最初に市場投入したEVは2人乗りのスポーツカー「Roadster」だった。また、Roadsterのプロトタイプは、トミーカイラZZと同じライトウェイトスポーツカーであるLotusの「エリーゼ」を基に開発されている。
Roadsterの時速0〜100kmの加速時間は3.9秒で、トミーカイラZZと同等である。ただし、満充電からの走行距離は230マイル(約378km)と、トミーカイラZZよりもはるかに長い。その分多くの電池を搭載しており、車両重量は1238kgと重くなっている。「トミーカイラZZは、ステアリングの軽さをはじめライトウェイトスポーツカーの楽しさを感じられるように設計した」(グリーンロードモータース)という。
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