洋上風力発電所を建設する際の立地条件として重要視されるのは、水深と風の強さだ。水深が深くなるほど急速に建設費用が高騰し、風から得られるエネルギー(電力)は風速の2乗に比例するからだ。
「建設予定地は岸から1〜2km離れているが、水深20m以内という浅瀬が広がり、建設に必要な面積を確保できる。具体的な風速は公開できないが、60MW級の風力発電所を設置したとき、年間16万MWh発電できると試算している」(前田建設、図2)。
図2 九州・四国を中心とした風況マップ NEDOが公開している局所的風況予測モデル(平成18年度版)の表示内容(地上高70m)に風力発電所の位置を示す矢印を書き加えたもの。建設予定地では年平均風速7m/s以上が見込めることが分かる。出典:NEDO洋上風力発電普及を阻害する要因もある。固定価格買い取り制度(FIT)だ。「陸上風力とは異なり、洋上風力は買い取り価格が未定である。下関の発電所では年間の売電収入を約35億円と見込んでいるが、これは陸上風力に当てはめた予想額だ」(前田建設工業)。FIT制度が不備だと、投資の不確実性が高まってしまう。
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