今後成長が期待できる再生可能エネルギーについて、2012年度と2020年度の国内市場規模を富士経済が予測した。従来の家庭用太陽光発電システム一辺倒から、産業用へと成長分野が移り変わっていくという。
太陽光発電などの再生可能エネルギーの実力に強い関心が集まっている。再生可能エネルギー市場は2012年度はどの程度成長するのか、2020年には再生可能エネルギーのうち、どの市場が有望なのだろうか。こうした疑問に答える集計結果を市場調査会社である富士経済が2012年10月10日に公開した。
同社の発表した予測値は、発電システムの部材と施工などの設置費用を合わせた市場規模である。産業/業務用と住宅用をそれぞれ集計しており、市場規模の推移を示した。
2012年度(2012年3月〜2013年4月)と2020年度の市場規模を表1のように見込んだ*1)。表1には2011年度比の市場規模も記されている。
*1)産業/業務用については以下のシステムを調査対象とした。太陽光と風力、太陽熱、地熱、小型水力、燃料電池、ヒートポンプ式給湯、蓄電。住宅用については、太陽熱と地熱、小型水力を除いた値を集計している。
産業/業務用は、2012年度時点で対前年度比301.7%と3倍にも成長している。富士経済によれば、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の実施を待って市場が伸び悩んでいたため、その反動の形で急成長すると見込んだ。特に太陽光発電システムの伸びが著しいとした。
2020年には2011年比で約5.3倍に市場規模が拡大すると予測した。太陽光発電システム以外に、洋上風力発電システム(関連記事)や燃料電池システム(関連記事)が寄与するという。
2012年度の住宅用は2011年度とほぼ同じ水準で推移すると予測した。住宅用太陽光発電システムが順調に売り上げを伸ばす中、なぜこのような予想になったのだろうか。それは太陽光発電システムと並んで市場構成比が高いヒートポンプ式給湯システムが縮小したからだという。2011年度、2012年度とも同システムの伸び率はマイナスである。これは東日本大震災後、オール電化住宅に対する評価が下がったことによる影響だとした。
ただしこのような傾向は一時的なものだという。2013年度以降はヒートポンプ式給湯システム市場がプラスに転じ、太陽光発電システムを中心とし、蓄電システムと併せて2020年度には2011年度比2.1倍に成長すると見込む。
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