東芝は、リチウムイオン電池「SCiB」が、スズキの新型「ワゴンR」のブレーキ回生システム「ENE-CHARGE(エネチャージ)」に採用されたと発表した。
東芝は2012年9月6日、同社のリチウムイオン電池「SCiB」が、スズキの新型「ワゴンR」のブレーキ回生システム「ENE-CHARGE(エネチャージ)」(関連記事)に採用されたと発表した。
採用されたのは、ハイブリッド車(HEV)など向けに入出力密度に重点を置いて開発した、電流容量が3Ahの高入出力タイプ電池セルである。SCiBは、電流容量20Ahの高容量タイプ電池セルが、三菱自動車の「i-MiEV」やホンダの「フィットEV」といったEVに採用されていたが、高入出力タイプの採用は今回が初となる。
高入出力タイプ電池セルは、端子を含めた外形寸法が62.5×13.5×96.5mmで、重量が150±5g。ブレーキ回生システムで重視される入力密度は、室温(25℃)で約6000W/l(リットル)を達成している。寒冷地などの低温環境における入力密度についても、−10℃の場合で約1400W/lを確保した。なお、室温での出力密度は4780W/lとなっている。
ENE-CHARGEのリチウムイオン電池パックの電力容量は36Whと発表されている。今回採用された電池セルは、電流容量が3Ah、電圧が2.4Vであることから、電池パックには電池セルが5個使用されている計算になる。
これら5個の電池セルを直列で接続すると、電池パックの電圧は12Vになる。これは、ENE-CHARGEにおいて、SCiBと組み合わせて使用されているアイドルストップシステム用鉛電池の電圧と同じ値である。このため、1つのシステム内で2種類の電池を使用しているにもかかわらず、電圧を合わせこむための電圧変換器が不要になるので、追加コストがかからないという。
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