デンソーは、3次元画像の生成・解析技術を活用したソフトウェアやサービスなどを開発・提供しているアイネットの3D事業部を買収。4月1日からデンソーの100%出資子会社「スリーディー」として事業を開始する。
デンソーは2012年3月22日、3次元画像の生成・解析技術を活用したソフトウェアやサービスなどを提供しているアイネットの3D事業部の買収を発表した。同事業部が有する3次元コンピュータグラフィックス(3次元CG)を用いたシステム、およびソフトウェアの開発・販売に関する事業を譲り受け、4月1日より、デンソーの100%出資子会社「スリーディー」として事業を開始する。
近年、自動車用メーターやナビゲーションシステム、ヘッドアップディスプレイなどの車載ディスプレイにおいて、より複雑で洗練されたビジュアルイメージの表示が求められている。こうしたトレンドに対応すべく、デンソーはアイネットの3D事業部が持つ高度な3次元画像の生成・解析技術に着目。このたび事業体の買収に踏み切った。

アイネット 3D事業部の技術例(1)「車載ディスプレイ開発」について。画像は、(左)3次元CGによる液晶メーターパネルと(右)GUI画面のイメージ。CGツールで制作したコンテンツをインタラクティブな3Dコンテンツに変換するツール「REMO」のレンダリングエンジンを利用した組み込み機器向けのOpenGL ES対応ソフトウェアフレームワーク「REMO ES」をベースに開発(出典:アイネット 3D事業部)また、3次元画像の生成・解析技術の他にも、アイネット 3D事業部では、3次元画像を基にしたシミュレーション技術および、モニター上に映した画像や物体に実際に触れているかのような感覚を与えるハプティック(触覚・力覚)デバイス用ソフトウェアの開発実績も有する。過去、デンソーではハプティックデバイスとして、レクサスGS/RXなどに搭載された「リモートタッチコントローラ」を開発した実績もあるため、同事業部が有するこれら技術・ノウハウとの融合による製品力強化にも期待を寄せている。
デンソーが2009年に開発したハプティックデバイス「リモートタッチコントローラ」(サイズ:80mm×220mm×95mm)。センターコンソールに配置され、ナビゲーションやオーディオ、エアコンなどの操作を運転手の手元で行うことが可能アイネット 3D事業部は、これまで自動車分野に限らず、医療や娯楽などさまざまな分野で事業を展開してきた。スリーディーとなった後も、引き続きこれらの分野に最先端のソフトウェアやサービスを提供していく方針だとする。
アイネット 3D事業部の技術例(2)「ハプティク技術」について。画像は、鶴見大学 歯学部との共同研究開発によるハプティク技術を用いたインプラント設置に関するかみ合わせシミュレーション(出典:アイネット 3D事業部)| 社名 | 株式会社スリーディー |
|---|---|
| 所在地 | 横浜市港北区 |
| 社長 | 渡良井葉麻 氏(わたらいようま、現:アイネット 3D事業部長) |
| 設立年月 | 2012年3月14日(営業開始は4月1日) |
| 資本金 | 7500万円 |
| 出資比率 | デンソー 100% |
| 売上高 | 4億円(2012年度見込み) |
| 従業員数 | 21人 |
| 業務内容 | コンピュータとそれらの周辺装置およびソフトウェアの開発・販売 |
| 表1 新会社の概要 | |
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