製造業×品質、転換期を迎えるモノづくりの在り方 特集
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» 2010年04月26日 00時00分 公開

日本企業の市場問題管理とデザインレビューの水準いま考えるべき品質マネジメント改革(1)(2/6 ページ)

[三河 進/NECコンサルティング事業部,@IT MONOist]

原因(1):部品の共通化

 製品バリエーションや開発期間短縮、コスト削減を実現するために、製造業各社ではプラットフォームの統一、共通モジュール化を推進していることはよく知られています。

 図2は、あるエレクトロニクス製品のプラットフォーム化と共通モジュールの組み合わせにより、最小の部品種類数で多様な製品バリエーションを実現している例です。この例では、「筐体」をプラットフォームとして取り扱い、ほかの部位をモジュール化し、顧客仕様・仕向けなど多様な製品バリエーション対応を可能にしています。機能モジュールによる組み合わせ設計は、製品多様化と部品少数化を両立する製品開発手法であり、自動車、パソコンや産業機械などで広く活用されています。

図2 エレクトロニクス製品のプラットフォーム化、モジュール化構想 図2 エレクトロニクス製品のプラットフォーム化、モジュール化構想

 近年の重大な品質問題では、単一の製品やロットに限定されるものではなく、複数の製品にまたがって発生しているケースが目立っています。図3は共通モジュール設計段階や製品適用設計段階のミスが、複数車種や地域にまたがって不具合を発生させるメカニズムを説明しています。仮に共通モジュール設計段階で不具合が潜在的に作成され、それが製品適用段階、製造工程設計段階や出荷検査時に発見されずに出荷されると、大規模な品質問題の原因になることがお分かりいただけるかと思います。

図3 モジュール設計ミスによる大規模不具合発生のメカニズム 図3 モジュール設計ミスによる大規模不具合発生のメカニズム

 一方、リコールの原因として「設計段階でのミス」が増加している、と国土交通省から報告されています。2003年までは、「設計段階のミス」と「製造段階のミス」の割合は半々とされていますが、現在では「設計段階のミス」が約7割になったとのことです。

 図4は2002年から2006年のリコール全体の原因内訳を示しています。設計が総数の約7割で、特に「評価基準の甘さ」と「開発評価の不備」が上位にランキングされています。

図4 リコール届け出の不具合発生原因別件数・割合 図4 リコール届け出の不具合発生原因別件数・割合
出展:リコール検討会 第2回(国土交通省:2007年11月13日開催)の公開資料
参考資料4
平成18年度のリコール届出数300件を対象に、国土交通省自動車交通局が不具合発生原因を設計/製造に分類したうえで分析を行ったものを独自に作図

 以上のことから、開発期間短縮やコスト削減のために部品共通化は必須事項となっていますが、設計段階での評価基準や評価の甘さが重大かつ大規模な不具合の原因になっている場合の多いことが推察できます。モジュール化や共通化を前提とした設計プロセスにおいて、いかに品質の高いデザインレビューが実施できるかがキーとなることが分かります。

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