製品バリエーションや開発期間短縮、コスト削減を実現するために、製造業各社ではプラットフォームの統一、共通モジュール化を推進していることはよく知られています。
図2は、あるエレクトロニクス製品のプラットフォーム化と共通モジュールの組み合わせにより、最小の部品種類数で多様な製品バリエーションを実現している例です。この例では、「筐体」をプラットフォームとして取り扱い、ほかの部位をモジュール化し、顧客仕様・仕向けなど多様な製品バリエーション対応を可能にしています。機能モジュールによる組み合わせ設計は、製品多様化と部品少数化を両立する製品開発手法であり、自動車、パソコンや産業機械などで広く活用されています。
近年の重大な品質問題では、単一の製品やロットに限定されるものではなく、複数の製品にまたがって発生しているケースが目立っています。図3は共通モジュール設計段階や製品適用設計段階のミスが、複数車種や地域にまたがって不具合を発生させるメカニズムを説明しています。仮に共通モジュール設計段階で不具合が潜在的に作成され、それが製品適用段階、製造工程設計段階や出荷検査時に発見されずに出荷されると、大規模な品質問題の原因になることがお分かりいただけるかと思います。
一方、リコールの原因として「設計段階でのミス」が増加している、と国土交通省から報告されています。2003年までは、「設計段階のミス」と「製造段階のミス」の割合は半々とされていますが、現在では「設計段階のミス」が約7割になったとのことです。
図4は2002年から2006年のリコール全体の原因内訳を示しています。設計が総数の約7割で、特に「評価基準の甘さ」と「開発評価の不備」が上位にランキングされています。
以上のことから、開発期間短縮やコスト削減のために部品共通化は必須事項となっていますが、設計段階での評価基準や評価の甘さが重大かつ大規模な不具合の原因になっている場合の多いことが推察できます。モジュール化や共通化を前提とした設計プロセスにおいて、いかに品質の高いデザインレビューが実施できるかがキーとなることが分かります。
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