「エビの声」も聞こえる? AIが工場などの空間情報を自然言語で発信:人工知能ニュース
三谷産業は、AIを活用した総合情報認識プラットフォーム「Artificial Business Intelligence」を開発した。
三谷産業は2024年7月29日、AI(人工知能)を活用した総合情報認識プラットフォーム「Artificial Business Intelligence(ABI)」を開発したと発表した。業務システムや空間内のセンサーなどから得た情報をAIが分析し、自然言語で発信することで、組織の気付きや行動を促す。今後、ユーザー向けサービスの開発を進める。
ABIは収集したデータをもとに、AIが問題を認知/把握するための分析を行い、文章や音声で自動的に情報発信する。人に寄り添った回答/通知/気付きを与えることで、施工現場や工場での点検/保守、業務効率化、社員エンゲージメントの向上などにつなげる。
用途として、工場設備の異常検知や生産設備のリアルタイム稼働データ、設備故障抑止のための予兆検知などに関する発信などを想定する。この他、営業支援システムや顧客管理システムとの連携など、さまざまなビジネスシーンへの活用も考えられる。
工場設備の異常検知に活用するには
ABIは特定の空間における情報に解釈/意味付けを行い、幾つかの代表的なテーマに沿った回答がなされるよう大規模言語モデル(LLM)と連携させる。その上で適切なプロンプトを設定して、LLMを通じた情報発信を実現する。
例えば工場で設備の異常検知に使用する場合、一部の機械が他と異なる温度で運転していることをセンサーが感知すると、AIはこの情報を「機械を運転する手順が手順書から逸脱した状態にある」と意味付けする。
次に、工場における主要な関心ごとである「手順」「品質」「問題」といったテーマを中心にLLMが処理を進めるようにした上で、「あなたは工場の安全保安員です。言葉づかいは丁寧です。相手に理解を促すような話し方をします」とプロンプトを設定。場のスピーカーや設備を制御するコンピュータ上で「この製造機械内の温度が〇度になっています。機械を運転させる手順が誤っている可能性があります。品質問題に発展するおそれがあるため、機械を再起動し手順書通りに始動してください」などの注意を促す。
オニテナガエビが「自然言語で情報発信」
なお、三谷産業ではオニテナガエビの陸上養殖に関するプロトタイピングのプロジェクトでABIを活用しており、「生育中のオニテナガエビに自然言語で情報発信させる」(プレスリリースより)という仕組みづくりを試験的に行っている。
具体的には温度や湿度、騒音、光度、VOC(揮発性有機化合物)濃度などのセンシングデータを特定の意味を持つデータに変換しておき、それらをLLMと連携する。これによって、人間がプロンプトを通じて問いかけると、文章に合わせてオニテナガエビの「返答」を生成する仕組みを構築しているという。
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