ファブラボ(FabLab)
「ファブラボ(FabLab)」は“Fabrication Laboratory”の略称である。アナログからデジタルまで多様な工作機械を備える、実験的な市民工房ネットワークであり、世界各国で展開されている。世界20カ国以上、50カ所以上に市民工房を展開。日本国内においては21カ所の市民工房が存在する(2020年4月現在)。米国や欧州各国、日本といった先進国ばかりでなく、ケニアやアフガニスタンなどの新興国にも広がっている。
ファブラボは、個人的な創作や発明のために工作機械を開放し「モノづくりの民主化」を目指す取り組みである。そのため工房は、無料もしくは金銭に変わる交換条件に基づき、週に1回以上のペースで一般公開されなければならない。
ファブラボの工房には以下の推奨機材を備え、(ほぼ)あらゆるもの(ただし人を傷つけるものは除く)を作り出せる環境の実現を目指す。
- レーザーカッター
- ミリングマシン
- ペーパー/ビニールカッター
- 3Dプリンタ
- 各種ハンドツール・電子工作ツール
ファブラボは、大学などの教育研究機関、地域のコミュニティーセンター、文化施設と一体化したもの、NPOやNGO、企業、個人など、運営者の背景はさまざまであり、それぞれが独自の運営を行う。ただし、その運営は「ファブラボ憲章の理念に基づくこと」とされている。ファブラボ憲章とは、世界のファブラボが共有する基本理念や運営のガイドラインのことである。ファブラボを名乗る施設は、ファブラボ憲章の内容をWebサイトや施設内に掲示し、工房利用者に周知させることが求められる。
世界中の工房はインターネットでつながり、Webサイトやビデオ会議などを利用して常に会員たちがコミュニケーションを取っている。年次イベントの「Fab(X):世界ファブラボ会議」も、ファブラボのある世界各地で開催されている。
ファブラボの活動は、2020年にマサチューセッツ工科大学(MIT) メディアラボの教授であるニール・ガーシェンフェルド氏により開始された。同氏の著書「ものづくり革命 パーソナル・ファブリケーションの夜明け」でファブラボが登場して以来、世界各国にファブラボが誕生することになった。
ファブラボの発端となったのは、1998年にMITで開講された「How to Make(Almost)Anything/(ほぼ)何でも作る方法」という講座である。MITに備わる機材を使いながら、「(ほぼ)あらゆるモノを作る方法」を習得していくといく内容であった。
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