ひずみ
「ひずみ」とは、物体に力が加わり変形した場合に、変形前の形状に対してどれだけ変形したかを比率として示す値である。英訳は「Strain(ストレイン)」。比率であるため、単位はない無次元数である。ひずみは応力がかかると同時に発生する。
応力が0であれば、ひずみも0である。力がかかっても変形が生じない。ひずみが生じない物体を「剛体」と呼ぶ。
ひずみには「垂直ひずみ」と「せん断ひずみ」がある。垂直ひずみは垂直応力と同時に発生し、せん断ひずみはせん断応力と同時に発生する。垂直ひずみは垂直方向に生じるひずみであり、「ε(イプシロン)」で示す。垂直ひずみのうち、物体の長さが伸びた場合は「引っ張りひずみ」、縮んだ場合は「圧縮ひずみ」と呼ぶ。また荷重方向に対して垂直に発生する垂直ひずみは「横ひずみ」といい、「ε´」で示す。
「せん断」とは、ハサミや刃物で物体に力を加えて断とうとするときのように、物体内部に生じる力のことである。せん断変形に伴う応力が発生すれば、断面をずらすかのように斜めになって生じるせん断ひずみも起こる。せん断ひずみは「γ(ガンマ)」で示す。
ひずみは、物体の縦と横に生じる。横に伸びれば縦方向に縮み、横方向に圧縮されれば縦方向が伸びる。この縦ひずみと横ひずみの比率を「ポワソン比」と呼ぶ。
金属のひずみは非常に微小であるため、電気抵抗値の変化を見てひずみを計測する「ひずみゲージ」(ストレインゲージ)を用いる。
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