PTCが“つながる”SLMを提案、「15〜20%のサービスパーツ在庫削減も可能」:製造ITニュース
PTCジャパンが東京都内で会見を開き、SLM(サービスライフサイクルマネジメント)ソリューションの今後の製品展開について説明。2016年から、従来のSLMソリューションに加えて、IoTプラットフォームである「ThingWorx」を活用した“つながる”SLMである「Connected SLM」を提案していく方針である。
PTCジャパンは2016年2月29日、東京都内で会見を開き、SLM(サービスライフサイクルマネジメント)ソリューションの今後の製品展開について説明した。2016年から、従来のSLMソリューションに加えて、IoTプラットフォームである「ThingWorx」を活用した“つながる”SLMである「Connected SLM」を提案していく方針である。
PTCジャパンでSLMセグメント セールス 事業開発担当 バイスプレジデントを務めるAsher Gabbay(アッシャー・ガッバイ)氏は「Connected SLMでは、『Connect(つながる)』『Monitor(モニタリング)』『Predict(予測)』『Optimise(最適化)』という4つのキーワードのもとで、製品のリアルタイムモニタリングや、履歴データ+リアルタイムデータの組み合わせからの予測による予防保全、収集したデータに基づく業務やアルゴリズムの最適化などが可能になる」と語る。
Connected SLMは、既に提供可能な状態にある「Connected SPM」「Connected Field Service」「Remote Service」と、2016年末までにリリース予定の「Predictive Service」「Equipment Service」という5つのアプリケーションがある。これらのうち、Connected SPMとConnected Field Serviceについては、Connected SPMが「PTC Service Parts Management」、Connected Field Serviceが提携企業であるservicemaxといったように、PTCの従来のSLMソリューションと組み合わせての利用が前提になっている。残りの3つは、従来のSLMソリューションにはないものであり、各アプリケーション単独で導入することができる。
ただし、Connected SPMとConnected Field Serviceも、初期リリースの段階で連携するツールとしてPTCのSLMソリューションを選定しただけであり、「将来的には、他社のSLMソリューションと組み合わせられるようにする」(ガッバイ氏)という。従来のSLMソリューションとConnected SLMをセットで売り込んで行くのではなく、IoTプラットフォームであるThingWorxを活用した、SLMに“つながる”機能をもたらす製品としてConnected SLMを展開していきたい考えだ。
サービスパーツ在庫管理の需要予測を高精度化
会見では、米国本社のPTCでSLMセグメント プロダクトマネジメント担当 バイスプレジデントを務めるSteven Caldwell(スティーブン・カルドウェル)氏が、サービスパーツの在庫管理に用いるPTC Service Parts Managementと、“つながる”ことで機能が拡張されるConnected SPMについて説明した。
カルドウェル氏によれば、PTC Service Parts Managementのユーザーは約200社あり、これらの企業のサービスパーツ在庫金額は平均で約5億米ドルに達するという。「これら200社のうち約3分の1は、インストールベースによる需要予測を行っているが、残りの3分の2は需要予測を行っていない。この残りの3分の2のユーザーがConnected SPMを活用した高精度の需要予測を行えば、15〜20%のサービスパーツ在庫削減が可能になる。また、需要予測を行っている3分の1のユーザーも、10%程度のサービスパーツ在庫削減を実現できるだろう」(同氏)としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- IoT製品は顧客を知るセンサーになる
PTCジャパンは製造業向けSLM(サービスライフサイクル管理)をテーマにしたユーザーイベント開催した。同イベントには米PTC SLM セグメント シニア バイス プレジデント 兼 ゼネラル マネージャのスティーブ・モランディ氏が登壇し、SLMに関連する近年の市場動向や、今後のSLM事業の戦略について語った。 - 製造業は、儲かるアフターマーケットで稼ぐべし――PTC
米PTCはサービスライフサイクル管理(SLM)など、アフターマーケット分野への取り組み強化を進めている。2013年7月の米エニグマ買収を機にエニグマからPTCに移籍し、PTCのSLMセグメントのセールス/事業開発担当バイスプレジデントを務めるアッシャー・ガッバイ(Asher Gabbay)氏に話を聞いた。 - サービス部門をプロフィットセンターへ――サービスは利益を生み出す宝の山
PTCは、ユーザーカンファレンス「PTC Live Global」の一環としてサービス部門を対象とした「Service Exchange」を開催。サービス部門は企業のブランドや製品のライフサイクルを管理する上で重要な部門であり、最適な管理を行うことでコストを抑え利益をもたらすプロフィットセンターになり得ることを訴えた。 - IoTとの組み合わせで注目を集めるサービスビジネス――PTCが戦略を発表
IoT(モノのインターネット)の発展で大きな注目を集めているのが、製造業のサービスビジネスの変化だ。PTCジャパンは、以前から取り組むSLM(サービスライフサイクル管理)システムに、注力を進めるIoT(モノのインターネット)関連サービスを組み合わせた提案を強化し、2018年度までにSLMビジネスの売上高比率を現在の10%から20%に引き上げる方針を示している。 - PTCと電通国際が提携、製造業向けIoTやSLM事業の強化へ
PTCジャパンは電通国際情報サービス(ISID)とIoTおよびSLM(サービスライフサイクル管理)の分野におけるパートナーシップ契約の締結を発表。ISIDの顧客に対しPTCのIoTプラットフォーム「ThingWorx」や「PTC Servigistics」をはじめとするSLMソリューションの提供を開始する。