米PTCはサービスライフサイクル管理(SLM)など、アフターマーケット分野への取り組み強化を進めている。2013年7月の米エニグマ買収を機にエニグマからPTCに移籍し、PTCのSLMセグメントのセールス/事業開発担当バイスプレジデントを務めるアッシャー・ガッバイ(Asher Gabbay)氏に話を聞いた。
米PTCは2012年に米サービジスティクス(Servigistics)を買収し、SLM(サービスライフサイクルマネジメント)事業への本格的な取り組みを開始。PLMシステムによる製品情報管理とともに、サービス部品のライフサイクル管理のメリットを提案している(関連記事:サービス部門をプロフィットセンターへ――サービスは利益を生み出す宝の山)。
2013年7月には、アフターサービス分野のソフトウェア開発ベンダーである米エニグマ(Enigma)を買収(関連記事:PTCが米エニグマを買収――SLMをさらに強化)し、さらにアフターサービス分野を強化する姿勢を示している。
アフターサービス分野にはどういう可能性があるのか。エニグマからPTCに加わった、PTC SLMセグメント セールス/事業開発担当バイスプレジデントのアッシャー・ガッバイ(Asher Gabbay)氏に話を聞いた。
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MONOist なぜアフターサービス分野に力を入れるのでしょうか。
ガッバイ氏 業界によって違いはあるが、製造業がアフターサービスに力を入れるべき利点があるからだ。まず、最終製品に比べてアフターサービス分野は利益が出やすい分野である点だ。グローバル競争が激化する中、最終製品の利益率を上げるのは至難の業だが、アフターサービス部門ではまだまだ効率化が可能だ。
例えば、当社の調査では、アフターサービス部門の業務において約40%の時間が「情報を探す」ことに使われているという結果が出た。これを5%でも下げることができれば、業務効率の大きな改善につながり、収益性にも効果が出ることになる。
また、アフターサービスで訪問しても一度の訪問で問題が解決することは現状では少ない。顧客企業が問題を聞いて症状を予想し、それに合う部品を持っていく。運良く当たっていればいいが、ほとんどは外れる。そのためまた戻って正しい部品を用意したり、発注する必要がある。IT活用などで、これらの訪問回数を1度でも減らすことができれば、大きな効率化が可能になる。航空機や建設機械や製造装置などでは特に効果を発揮するだろう。
MONOist その他にはどういう要因がありますか。
ガッバイ氏 B2B(業務用)分野の製品を扱うユーザーにとっては、ダウンタイム(システムや装置が停止している時間)を減らすことが大きな課題になっている。その際により短い時間で修理することや再稼働させることが重要であり、自社の差別化にもつなげることができる。
また、アフターサービスパーツ分野は一定規模の市場があるが、全て純正部品(製品を導入した企業の部品)が使われているわけではない。サードパーティーによる代替部品が使われているケースも多い。これらのシェアを上げることで収益性を大きく改善できる。
これらを実現するためには情報を一元管理し、メカニックがいつでも簡単に情報を見られる仕組みが必要になる。
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