東京理科大らは、アトピー性皮膚炎から全身性アレルギーへ症状が進行するアトピーマーチの分子メカニズムを解明した。IL-13と特定の樹状細胞の相互作用により、高親和性IgE抗体産生が駆動する。
東京理科大学は2026年8月24日、アトピー性皮膚炎を発端に全身性アレルギーへ症状が拡大する、アトピーマーチの発生メカニズムを解明したと発表した。IL-13が特定の樹状細胞に作用して抗原提示を向上させ、IgE抗体の産生を誘導することで全身性アナフィラキシーに至る。慶應義塾大学らとの国際共同研究グループによる成果となる。
研究グループはマウスモデルを用いた実験により、皮膚が感作された後にアレルゲンへ再暴露されると、記憶Th2細胞から2型サイトカインであるIL-13が放出されることを突き止めた。このIL-13は、B細胞やT細胞ではなく、樹状細胞のcDC2に作用して抗原提示能を飛躍的に高めライセンス化する。ライセンス化されたcDC2は、Th2細胞から病原性の高いIL-13産生TFH13細胞への分化を誘導し、胚中心反応と高親和性IgE抗体産生を駆動することで、全身性アナフィラキシーにつながる。
さらに、末梢血中を循環するcDC2がフラクタルカイン受容体のCX3CR1に依存してリンパ組織へ移動し、アレルゲンを運搬することを解明した。CX3CR1の働きを阻害する薬剤を投与したところ、樹状細胞の集積とIgE抗体産生の両方が抑えられた。ヒト患者のデータ解析でも、同様のcDC2集団の増加と病態活動性との相関を確認している。
アトピーマーチは、アトピー性皮膚炎による皮膚バリアの破綻を起点として、同じアレルゲンが再暴露されると症状が全身に拡大するアレルギー疾患の経過だ。これまでの研究では、皮膚から侵入したアレルゲンによるT細胞分化や2型サイトカイン産生の誘導が明らかになっていたが、局所の皮膚炎症が全身を巻き込む重篤なアレルギー反応へ変換される全体像は解明されていなかった。
今回の成果は、アトピー性皮膚炎における抗IL-13抗体医薬の有効性を分子レベルで裏付けるものだ。今後はIL-13とcDC2からなる「IL-13-cDC2軸」や、血中cDC2の所属リンパ節への遊走に関わる「CX3CR1-CX3CL1経路」を標的とした、新しいアレルギー治療戦略の開発が期待される。
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