中部大学らは、便中の水溶性ビタミンを細胞外と細胞内に区別して分析する新たな手法を開発し、腸内細菌による代謝物の相互共有の構造を明らかにした。
中部大学は2026年9月3日、便中の水溶性ビタミンを「細胞外に存在しやすいもの」と「細胞内に保持されやすいもの」に分けて測定する新手法を開発し、腸内細菌におけるビタミン共有の分業体制の一部を解明したと発表した。名古屋大学、岩手医科大学との共同研究による成果だ。
新技術では、同じ便サンプルを破砕処理前後の2回にわけて測定する。未破砕のサンプルでは主に細胞外に存在する水溶性ビタミンを測定し、強く破砕後のサンプルでは細胞内外あわせて総量に近い水溶性ビタミンを測定できる。
健常者63人の便試料を用いた実験の結果、ビタミンB12の補酵素型であるアデノシルコバラミンやチアミン(ビタミンB1)などは、菌体内で補酵素として活用される「細胞内保持型(Type1)」に分類された。一方、ビオチン(ビタミンB7)やパントテン酸(ビタミンB5)は破砕前にも比較的多く検出され、菌体外へ放出することで他菌株と共有される「細胞外利用可能型(Type2)」に分けられた。
さらに、ショットガンメタゲノム解析と統合させた結果、アリスティペス属がビオチンの豊富な腸内環境と密接に関わる一方で、ブラウティア属は発酵代謝に伴いチアミンを消費することが示唆された。また、ポリアミンのプトレシンと、ビフィドバクテリウム属(ビフィズス菌)との間に正の相関が示された。ビフィズス菌による乳酸産生に伴う便中pHの低下が、プトレシンの蓄積や安定性、産生菌の活性などに影響している可能性が考えられる。このことは腸内細菌の代謝ネットワークが、ビタミンだけでなくアミン代謝や環境pH制御とも密接に関係していることを示唆する。
従来の便中メタボローム解析では、代謝物の総量しか測定できず、実際の産生や利用の動態把握が困難だった。遺伝子情報だけでは解明できなかった「作る、取り込む、保持する、共有する」という腸内細菌の代謝活動を、実際の代謝物の存在場所と組み合わせて推定できる可能性を示した。
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