東京商工リサーチは、上場メーカーの国内工場、製造拠点についての閉鎖/縮小調査の結果を公開した。その結果、2022年に国内工場や製造拠点の閉鎖、縮小を開示したのは28社で、前年の40社を下回る結果となった。2023年も8月末までで14社にとどまり、減少傾向が続いている。
東京商工リサーチは2023年9月22日、上場メーカーの国内工場、製造拠点についての閉鎖/縮小調査の結果を公開した。その結果、2022年に国内工場や製造拠点の閉鎖、縮小を開示したのは28社で、前年の40社を下回る結果となった。2023年も8月末までで14社にとどまり、減少傾向が続いている。
コロナ禍によるさまざまな影響により、2020年、2021年は輸送用機器や機械などの需要減少などがあった他、ガラス関連や繊維など、コロナ禍前から構造的な需要減退で拠点の見直しが必要だった事業者で、拠点の閉鎖や縮小が相次いだ。
拠点の閉鎖に伴い、従業員の早期・希望退職を実施した企業も増加した。2020年、2021年の早期/希望退職は、それぞれ1万5000人以上の募集が行われ、リーマンショックに次ぐ高水準となった。特に、曙ブレーキ工業(曙ブレーキ山形製造など4拠点、2020年)、オーミケンシ(加古川工場、2021年)など地方拠点の閉鎖が相次いだ。2022年は従来多かった重工業に加え、食料品、繊維などの業界大手で拠点閉鎖が目立った。日清製粉グループ本社(岡山工場ほか)、アサヒグループホールディングス(神奈川工場ほか)、ENEOSホールディングス(和歌山製油所)など、業界大手が生産効率の向上を目指して拠点閉鎖を発表した。
製品ジャンル別でみると、2021年は最多が化学7社、次いでガラス/土石5社、食料品、輸送用機器、機械が各4社となっていた。2022年になると一転し、最多は食料品の9社となった。食料品は全体の3割超(構成比32.1%)を占めた。次いで、機械と繊維製品が各3社で続いた。2023年の最多は化学の4社で次いで、パルプ紙が2社で続いた。主な拠点では、旭化成がグループ会社の旭化成建材岩国工場の閉鎖(2023年9月末生産終了)を発表している。
閉鎖/縮小した製造拠点を所在地別に見ると、2019年から2023年(8月末時点)で最も多かったのは埼玉県の13拠点となった。次いで、大阪府の11拠点、千葉県と神奈川県が各10拠点で続いた。この他、兵庫県9拠点、栃木県、愛知県が各8拠点で、大規模な商圏を持つ大都市圏の周囲で拠点の閉鎖や縮小が集中した。
上場メーカーの国内製造拠点の閉鎖/縮小は、コロナ禍前の2019年は、17社/22拠点だったが、2020年は27社/37拠点、2021年は40社/45拠点と急増した。その後は、経済活動の再開や、海外のサプライチェーンリスクなども追い風に国内回帰の動きも出始め、製造拠点の閉鎖や縮小の動きは減少に転じている。
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