110km離れた遠隔手術実証を開始、NTTドコモビジネスの「IOWN APN」回線で:医療機器ニュース

九州大学らは、九州大学病院と九州大学別府病院を光ネットワーク「IOWN APN」で接続し、110km離れた場所から開発中のマイクロサージェリー用手術支援ロボットを遠隔操作する実証実験を開始した。

» 2026年10月01日 15時00分 公開
[MONOist]

 九州大学は2026年9月16日、約110km離れた九州大学病院と九州大学病院別府病院を光ネットワーク「IOWN APN」で接続し、開発中のマイクロサージェリー用手術支援ロボットの遠隔操作に関する実証実験を開始したと発表した。実証期間は2026年度から2027年度までの2年間で、総務省の事業に採択されて実施する。

キャプション 九州大学病院の医師が110km離れた場所から手術支援ロボットを「IOWN APN」という通信技術で操作する[クリックで拡大] 出所:九州大学

 同実証は、九州大学を代表機関とし、日本外科学会、F.MED、NTTドコモビジネス、NTTイノベーティブデバイス、セランの6機関が共同で実施する。F.MEDが開発したマイクロサージェリー用手術支援ロボットを遠隔操作仕様に発展させ、直径1mm以下の細い血管を糸径0.009mm以下の縫合糸で縫合操作が可能かを検証する。

キャプション 九州大学で開発中のマイクロサージェリーロボット 出所:九州大学

 ロボットの操作には往復0.005秒以下の応答と無圧縮の映像伝送が求められるため、低遅延かつ高速大容量通信のIOWN APNを用いて通信品質を検証する。NTTドコモビジネスの「docomo business APN Plus」を活用し、2026年度に映像伝送の基礎検証、2027年度に手術支援ロボットの遠隔操作の検証を進める。また、NTTイノベーティブデバイスは映像伝送装置「MediaRouterX」等を提供する。

キャプション 実証が対象とする手技の精度[クリックで拡大] 出所:九州大学

 また、九州大学が特許を持つアノテーション技術を活用した遠隔指導の検証も実施する。指導医が手術映像上に描いた線やマークが臓器の動きや画面拡大に追従する技術で、セランが装置として実装する。映像伝送や双方向音声、手術中の電源操作を1つのボタンにまとめた「ONEボタン電源装置」を一体化することで、短時間で利用を開始できるようにする。同システムは専用回線を必要とせず、インターネット回線で利用できる。

 同実証において九州大学は全体統括と臨床評価、指導医およびアノテーション技術提供を担い、日本外科学会はガイドライン整合性や保険適用に向けた協議等を担当する。F.MEDは手術支援ロボットの開発や薬事承認申請を推進し、各社が通信基盤や装置実装を支援する。

キャプション 実証の実施体制[クリックで拡大] 出所:九州大学

 6者は今回の実証を通じて、熟練医の直接指導や専門医の派遣が困難な地域における医療格差の解消を目指す。

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