NTT東日本、NTTドコモビジネス、NTTドコモソリューションズ、NTTデータグループおよび1Finity、三菱ケミカルは、IOWN APNと60GHz帯無線LANを組み合わせた大容量/低遅延な通信環境の実証実験を実施したと発表した。点検作業の負荷軽減へ、屋外におけるスマートメンテナンスの実現を目指す。
NTT東日本、NTTドコモビジネス、NTTドコモソリューションズ、NTTデータグループおよび1Finity、三菱ケミカルは2026年4月7日、三菱ケミカルの岡山事業所(岡山県倉敷市)において、IOWN APNと60GHz帯無線LANを組み合わせた大容量/低遅延な通信環境の実証実験を実施したと発表した。
大規模な工場設備が集積するコンビナートでは、安定稼働を維持するため、設備の定期的な屋外点検が不可欠となっている。だが、点検作業に多くの工数を要する他、高所作業などは転落の危険が伴い、現場作業員の負担軽減は長年の課題となっていた。
負担の軽減に向け、IoT(モノのインターネット)の活用ニーズは高いが、従来のコンビナートでは通信環境に制約があり、屋外におけるスマートメンテナンスの取り組みは十分に進んでこなかった。そのため、通信環境の高度化も進まないという悪循環に陥っていた。ローカル5Gなどの無線技術も、日本では無線免許の取得などの制度面での対応が必要となることから、通信環境の整備には依然として高いハードルが存在した。
今回の実証実験では、次世代ネットワーク基盤構想のIOWN APNと、免許不要の無線通信技術である60GHz帯無線LAN(WiGig)を組み合わせることで、コンビナートで大容量/低遅延な通信環境を構築した。具体的には、三菱ケミカル 岡山事業所からNTTグループの東京都内のビル間(約700km)を接続するIOWN APN環境と、岡山事業所内にはWiGigを用いた約2km区間の無線通信環境を約6時間で構築した。
岡山東京間のIOWN APN環境には、NTTドコモビジネスが提供する「docomo business APN Plus powered by IOWN」を活用。同サービスは、100Gbpsの伝送に対応可能な大容量低遅延な通信環境を実現する他、従来の光ネットワーク設備の有効活用ができることから、国内全域の敷設難易度の高いエリアに対しても構築が可能だ。
岡山事業所のWiGig環境の構築には、APNの末端から検証場所までの約2km区間に、無線中継器18台を用いてWiGig無線通信環境を構築した。検証場所では、上り伝送量最大900Mbpsの無線通信環境を実現し、高周波帯通信における課題とされてきた、移動する人や車両/ロボットが有するセンサーへの無線接続も可能であることを確認した。
これらの環境において、4Kカメラを8台用いた映像データの同時伝送(合計約400Mbpsのデータ通信)を実施。約2kmのWiGig無線通信区間と、往復約1400kmのAPN通信区間を組み合わせた構成において、エンドツーエンドで0.1秒未満の低遅延でデータ伝送が可能であることを確認。また、屋外環境においても、複数のセンサーから取得される映像や音声などの大容量データを同時かつリアルタイムに収集できた。
遠距離環境でのシームレスな映像配信や、各種デバイスを用いた映像や音声などのデータの同時取得だけでなく、マルチモーダルAI(人工知能)を用いた高精度かつリアルタイムな状態把握に基づく、AIによる巡回点検業務支援の実現が期待されるとする。
今後は、屋外スマートメンテナンス基盤の本格的な展開に向けて、高精度カメラやロボットを複数台同時に制御可能な安定した通信環境のさらなる高度化を図っていく。複数拠点におけるマルチオペレーションに向けたネットワーク環境、マルチモーダルAI処理に対応したコンピューティング基盤の実現に向けた検討と実証を進める。
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