NTTドコモビジネスは、次世代ネットワーク「IOWN APN」を活用し、全国8拠点に分散したGPUを統合利用できる実証環境の提供を開始した。電力などの制限を解消し、オンデマンドなリソース確保やデータ主権に対応した分散AI基盤の実用性を検証できる。
NTTドコモビジネスは2026年7月7日、東京都内で会見を開き、同社の次世代ネットワーク「IOWN APN」を活用し、全国各地に分散配置されたGPUリソースを1つのプラットフォームとして統合して利用できる実証環境「GPU over APN Testbed」について説明した。分散AI(人工知能)学習や分散AI推論などを活用した拠点間の大容量データ転送などの先進的なAIワークロードを、100Gbpsの低遅延かつ大容量通信がGPU環境で検証できる。同日より提供を開始している。
生成AIなどの普及に伴い、単一データセンターでの大規模なGPU運用は、物理的な限界を迎えつつある。
データセンターをめぐる市場動向について、NTTドコモビジネスの張洋暑氏は、「インフラ制約に起因する『やむを得ない分散』と、BCP(事業継続計画)やデータ主権の確保に向けた『戦略的な分散』の両面から、データセンター分散化のニーズが高まっている」と語る。しかし、拠点を分散させる場合、拠点間ネットワークの通信遅延や帯域不足がボトルネックとなり、分散配置したGPUを1つのシステムとして統合的に利用できない点が課題となっていた。
NTTドコモビジネスでは、こうした拠点分散による通信のボトルネックを解決するための技術として、同社が開発した次世代ネットワーク技術「IOWN APN(All-Photonics Network)」を商用提供してきた。IOWN APNは、ネットワークの全区間を電気信号ではなく光信号のみで伝送することで、超低遅延かつ大容量のデータ伝送を可能とするものだ。
今回提供を開始するGPU over APN Testbedは、このIOWN APNの通信を活用し、広域ネットワーク下における分散GPUの実用性を顧客自身が検証できる場を提供するものだ。札幌、金沢、福岡、大阪、首都圏4カ所の計8拠点にGPUを分散配置し、これらを100Gbps級のIOWN APNで接続する。NTTドコモビジネス イノベーションセンター IOWN推進室 担当課長の野山瑛哲氏はIOWN APIの通信性能について「例えば、約25GBに相当するデータを2秒程度で送ることが可能」と説明する。
計算資源やデータの最適な分散配置を考慮した柔軟なGPUクラウドの実現により、処理量の変動に応じてオンデマンドにGPUリソースを確保できるほか、利用者の拠点から移動できない機密度の高いデータの取り扱いが可能となる。
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