東北大学は、江戸時代の遺骨と木床義歯の形状を3次元解析し、義歯の内面と上顎骨が精度高く適合していたことを数値的に証明した。同手法は個人識別への応用が期待される。
東北大学は2026年8月31日、江戸時代の遺骨と被葬者が使用していたと推測される木製の義歯(木床義歯)の形状を三3次元解析し、義歯が使用者の顎骨へ高精度に適合していたことを定量的に判定したと発表した。
江戸時代に日本で独自に発展した木床義歯は、現代の総義歯と類似した形状を備え、高い適合性を有していたと推定されている。土台として、口腔内の粘膜に接する広い義歯床を備え、義歯を吸着させて安定させる技術が用いられていた可能性が指摘されている。
研究では、東京都の湖雲寺跡遺跡から出土した遺骨と木床義歯を対象として解析を実施。16体の無歯顎の上顎骨と、上顎の木床総義歯3点について、文献資料や発掘時の状況から、義歯とその使用者として推測される上顎骨の組み合わせを標準として他者と比較した。
損傷を与えないように3次元形状化した顎骨と各義歯を、解剖学的に対応づけて形状比較できる相同モデルを利用して適合性を求めた。粘膜に接する面と上顎骨との距離について、主成分分析と最短距離解析を実施したところ、使用者の上顎骨は対応する義歯の近傍に常に位置し、他者との組み合わせとは明確に分離された。
距離解析では、正解ペアの義歯と上顎骨の最短距離が2〜6mmの範囲に集中していた。誤ったペアは主に6〜10mmに集中しており、それと比べて有意に小さいことが確認できた。このことから、多数の遺骨の中から、義歯の使用者と他者を統計的に識別できることを実証した。
今回の解析手法は、現代の身元不明遺体における義歯を用いた法医学的個人識別や新たな鑑定手法の確立に寄与することが期待される。
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