再生材80%で新品同等! 複合機外装の水平クローズドリサイクル実現リサイクルニュース

企業の環境対応が急務となる中、帝人と富士フイルムビジネスイノベーションが画期的な資源循環スキームを構築した。回収した複合機の外装プラを再生し、再び自社の複合機外装カバーで利用する。

» 2026年07月24日 07時15分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 帝人は2026年7月23日、富士フイルムビジネスイノベーションと共同で、市場から回収した使用済み複合機の外装カバー由来の原料を用いた再生プラスチックを、複合機の外装カバーに再利用する「水平クローズドリサイクル」のスキームを構築したと発表した。

 なお、同スキームにより製造された部材は、再生材を使用しながらも高い外観品質を実現しており、複合機のフロントカバーへの適用が可能だ。

リサイクルを前提とした設計を採用

 近年、資源供給の不安定化や原材料価格の上昇などを背景に、資源を有効活用する取り組みの重要性が増している。特にプラスチック資源を含む製品や材料の循環利用に対する社会的要請が高まっており、製品ライフサイクル全体での資源循環の実現や、新規資源投入の抑制、廃棄物削減につながる取り組みが、企業に求められている。

 一方、富士フイルムビジネスイノベーションは、商品企画、開発、製造を含むライフサイクル全体を見据えた循環型システムを構築し、リサイクルおよびリユースの推進に1995年から取り組んでいる。一例を挙げると、使用済み複合機を再生し、新品部品のみで製造した複合機と同等の品質を保証する再生機を製造している。

 再生工程では、外装カバーの清掃や粒子状の研磨材を吹き付けるブラスト加工によってプラスチックの黄変を除去し、新品同等の外観品質を実現している。

 しかし、外観品質が求められる外装カバーの中には、破損や傷の状態によって従来のリユース手法では品質の確保が難しく、従来は新品部品に交換していたものがあった。こうしたことから、さらなる資源循環の実現に向けては、再利用が難しい部品の再生技術の確立と、その運用体制の構築が課題となっていた。一般に、使用済み製品から得られる再生材は、バージン材と比較して物性が低下するという問題もある。

 そこで、外装カバーなどに使用される樹脂製品を展開する帝人と富士フイルムビジネスイノベーションは、長年培ってきた技術とノウハウを融合し、使用済み外装カバー由来の再生プラスチック(再生材)を活用することで、外装カバーの中でも特に高い外観品質が求められるフロントカバーへ再生する水平クローズドリサイクルのスキームを構築した。

水平クローズドリサイクルのスキームのイメージ 水平クローズドリサイクルのスキームのイメージ[クリックで拡大] 出所:帝人

 今回のスキームでは、外装カバーに使用されるポリカーボネート系アロイ樹脂「マルチロン」について、リサイクルを前提とした設計を採用している。具体的には、長期間の使用後も物性の低下や変色が生じにくい組成設計を行って生産する。

 富士フイルムビジネスイノベーションは、自社の使用済み複合機を独自の回収網を通じて回収し、リサイクルパートナーと連携して、外装カバーから金属や種類の異なるプラスチックを取り除いた上で、必要なプラスチックのみを回収、分解、選別する。さらに、部品を洗浄しながら破砕する湿式破砕方式(水などの液体中で部品を破砕する方法)を採用することで、破砕時の異物の混入を抑制している。

 加えて、帝人は、物性復元や調色に関する独自のコンパウンド技術を適用し、富士フイルムビジネスイノベーションの回収網と分別破砕などの再資源化プロセスを通じて得られた材料を活用することで、同材料を80%含有しながらも、バージン材に相当する品質を備えた「マルチロン CM」を生産する。マルチロン CMは帝人が展開する環境配慮型素材を用いた樹脂のグレードだ。

 これらの取り組みにより、富士フイルムビジネスイノベーションが長年培ってきた資源循環の仕組みと、帝人のコンパウンド技術を組み合わせることで、従来のマテリアルリサイクルでは実現が困難であった白系色の調色を実現した。

 なお、富士フイルムビジネスイノベーションは、マルチロン CMを用いて、複合機の外装カバーの中でも特に高い外観品質が求められるフロントカバーを製造する。

⇒その他の「リサイクルニュース」の記事はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

特別協賛PR
スポンサーからのお知らせPR
Pickup ContentsPR
Special SitePR
あなたにおすすめの記事PR