帝人が売上高1兆円超えも営業利益は7割減、天然ガス価格高騰や工場の火災が影響製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

帝人は、2022年度の売上高が前年度比10%増の1兆188億円となるも、営業利益は同70.9%減の129億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は177憶円の損失となったと発表した。

» 2023年05月12日 10時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 帝人は2023年5月11日、電話会議システムを用いて会見を行い、2022年度(2023年3月期)の決算と2023年度の業績見通しについて説明した。

マテリアルセグメントは営業赤字に

 2022年度の売上高は前年度比10%増の1兆188億円となるも、営業利益は同70.9%減の129億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は177憶円の損失となった。帝人 代表取締役専務執行役員 CFO 経理・財務管掌の小川英次氏は「2007年以降で久しぶりの(売上高)1兆円超えになる」という。

2022年度の決算[クリックで拡大] 出所:帝人
2022年度の実績サマリー[クリックで拡大] 出所:帝人

 セグメント別では、マテリアル事業は、原燃料価格の高騰を販売価格改定で対応したが、米欧拠点での生産トラブルや労働力不足、中国の経済減速などの影響で減益となった。売上高は前年度比18.4%増の4560億円、営業損失は同147億円マイナスの204億円となり2年連続の赤字となった。

マテリアルセグメントのサマリー[クリックで拡大] 出所:帝人

 アラミド繊維では、為替の影響が収益を押し上げたものの、原料工場の火災および生産性の悪化により販売量が減少した他、天然ガス価格の上昇を受け、販売価格改定でもカバーできず、増収減益となった。「2022年度は当社の損益に影響を与える欧州の天然ガス価格が新型コロナウイルス感染症が流行する前と比べて5倍の価格となり高水準で推移した」(小川氏)。

 一方、欧州と米国での高級車と電気自動車(EV)向けのタイヤ需要が好調で、光ファイバー用途も高水準な需要が継続し、防弾/防護用途での需要も堅調だった。

 樹脂では、中国を中心に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、電子部品不足などが生じ顧客が保有する工場の稼働が減少し、世界経済も減速して販売量が減り減収減益となった。

 炭素繊維では、欧州と米国で、用途全般で需要が堅調で、特に航空機向けの販売量が増加したことにより販売構成が改善した。主原料の価格高騰を受け販売価格改定も行い、増収増益を記録した。

 複合成形材料では、半導体などの部品不足が改善し、新大型プログラムによる販売の本格化で販売量が増えた。しかしながら、原材料価格の高騰を受け、販売価格改定を実施したが、設備故障による一時的な生産性悪化で追加費用が発生し、労働需給の逼迫(ひっぱく)による労働力不足も継続し、増収減益となった。電池部材はスマートフォン向けのセパレータの需要が好調で販売量が増え、増収増益となった。

 繊維/製品事業では、自動車関連部材、人工皮革、水処理フィルター向けポリエステル短繊維が堅調で、欧米/中国向けのテキスタイルと衣料品の販売も好調に推移し、国内でも行動制限の緩和により衣料品の販売も回復傾向にある。原燃料価格や物流費の高騰、円安影響による仕入れコスト上昇が業績に影響したが、テキスタイルの販売価格改定を行い、増収増益となった。

繊維/製品セグメントのサマリー[クリックで拡大] 出所:帝人

 ヘルスケア事業では、帝人ファーマが展開する医薬品「フェブリク」の後発品が2022年6月に上市されただけでなく、薬価改定などで減益した。さらに、減損損失の計上や海外子会社の赤字幅拡大などに伴う税負担率の上昇により、減収減益となった。

 IT事業では、電子コミックサービスで販売は好調に推移したが、宣伝活動の強化を継続し増収減益となった。

ヘルスケアセグメントのサマリー[クリックで拡大] 出所:帝人
ITセグメントのサマリー[クリックで拡大] 出所:帝人
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