60億円を調達、核融合スタートアップが実証炉の工学設計に前進:材料技術(3/3 ページ)
トカマク型核融合炉の実証装置の建設地(サイト)を公募することも明かされた。公募期間は2026年7月15日〜10月15日で、対象は都道府県および政令指定都市となる。公募では調査/検討の受け入れを募集する。次に、応募自治体およびパートナーと協議した後、公募結果を踏まえて、現地調査を行う。
サイト選定に関する公式プロセスとして、公募を実施[クリックで拡大] 出所:Starlight Engine
同社では2025年から、日本立地センターを通じて予備的な協議/情報交換を開始した。その結果、全国17の広域的自治体から関心が寄せられた。複数の自治体で、知事などの首長と意見交換も実施している。
予備的調査では、全国17の広域的自治体から関心が寄せられた[クリックで拡大] 出所:Starlight Engine
安全性を考慮しつつ、地域との共創可能性を総合的に確認しているという。具体的には、土地/自然条件(敷地面積、土地利用可能性、地質、災害リスクなど)、インフラ/建設条件(電力、系統、用水/排水、輸送アクセスなど)を確かめる。さらに、地域の協力体制(地域との対話可能性/土地関係者との調整など)、産業/人材集積(将来的なサプライチェーン、人材育成、地域産業との接続)も確認する。
安全性を前提に、地域との共創可能性を総合的に確認[クリックで拡大] 出所:Starlight Engine
今後のスケジュールでは、まず2026年に工学設計、体制拡充、サイト選定プロセス開始を行う。2027〜2028年には、サイト評価/決定、開発/実証を実施する。2028〜2029年には、建設準備/先行調達、大型資金調達を行う。2030年代には発電実証を、2040年代以降は、産業化や商用化、世界展開を実施する。
FASTプロジェクトのロードマップ[クリックで拡大] 出所:Starlight Engine
東氏は「FASTプロジェクトの総事業費は1兆円規模を想定している。2028〜2029年に行わなければならない大型調達は、1000億円オーダーが求められると考えている」と強調した。
FASTプロジェクトで開発を目指すトカマク型核融合炉の実証装置の模型[クリックで拡大] 出所:Starlight Engine
⇒その他の「材料技術」の記事はこちら
核融合発電とは? 優位性や安全性などの基礎を解説
自然科学研究機構 核融合科学研究所 教授の高畑一也氏が、核融合発電の基礎知識について解説する本連載。第1回では、地上で実現する核融合反応とはどのようなものか、核融合発電の優位性と安全性、実現に必要な物理的条件、どうして核融合発電が必要なのかについて紹介します。
実際の核融合炉と発電の仕組み
自然科学研究機構 核融合科学研究所 教授の高畑一也氏が、核融合発電の基礎知識について解説する本連載。第2回では、核融合炉/発電の基本的な仕組み、核融合炉に使われる主要装置について解説します。
核融合炉発電実現に向けた多様なアプローチ 核融合ベンチャーの動向
自然科学研究機構・核融合科学研究所 教授の高畑一也氏が、核融合発電の基礎知識について解説する本連載。第3回では、核融合炉実現に向けたさまざまなアプローチを核融合ベンチャーの動向も含めて解説します。
経済的な核融合発電はどうすれば実現できるか?
自然科学研究機構・核融合科学研究所 教授の高畑一也氏が、核融合発電の応用知識について解説する本連載。第1回では、経済的な核融合発電を実現するための技術課題について解説します。
核融合炉の過酷な環境に耐えられる究極の材料とは?
自然科学研究機構・核融合科学研究所 教授の高畑一也氏が、核融合発電の応用知識について解説する本連載。第2回では、核融合炉内の極限環境で使われる材料について解説します。
ここが最大のキモ! 核融合炉におけるトリチウム増殖と分離の仕組み
自然科学研究機構・核融合科学研究所 教授の高畑一也氏が、核融合発電の応用知識について解説する本連載。最終回の第3回では、核融合炉の燃料サイクルに欠かせないトリチウム増殖と分離について解説します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.