北極域研究船「みらいII」と“超深海探査母船”に見るJAMSTECの次世代装備船も「CASE」(3/3 ページ)

» 2026年06月25日 08時00分 公開
[長浜和也MONOist]
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「みらいII」での運用を目指すAUV「COMAI」も

 しんりゅう6000は、最大潜航深度6000mの自律型無人探査機で、最大速力4ノット、20時間の航続時間を持ち、サイドスキャンソナー、サブボトムプロファイラー、CTD(電気伝導度、温度、水深)計、マルチビーム測深器、スチルカメラシステムを搭載する。管制/整備用コンテナとLARS(Launch And Recovery System)を持ち、着水、下降、観測航走、上昇、揚収を一連の潜航スケジュールとして扱う運用が可能だ。しんりゅう6000は広い範囲を移動しながら探査することを得意とし、南鳥島沖の水深6000m海域における海底探査では、一昼夜を通した83kmの長距離航行を実施している。

6000m級AUV「しんりゅう6000」の実機 6000m級AUV「しんりゅう6000」の実機。投入/揚収に使うLARSに載せた状態で展示されていた[クリックで拡大]

 じんべいは、最大潜航深度3000mの小型AUVで、全長4.0m、空中重量1.7トン、速力2.5ノット。溶存酸素計、蛍光/濁度計、マルチビーム測深機、サイドスキャンソナー、前方探査ソナーなどを備え、海底面に沿って潜航できる。うらしま8000やしんりゅう6000より小型の機体を生かして複雑な地形での観測に適しており、小回りを利かせて起伏のある海底熱水鉱床付近の資源探査にも対応できるという。

自律型無人探査機「じんべい」の実機 自律型無人探査機「じんべい」の実機。丸みのある小型機体に、スラスター、舵、センサー類を収める。「うらしま8000」や「しんりゅう6000」より小型で、複雑な海底地形に沿った観測に使うAUVという位置付けだ[クリックで拡大]

 北極域研究船「みらいII」との関係で紹介されていたAUV系の装備が、北極海氷下観測ドローン「COMAI」だ。名称は「Challenge of Observation and Measurement under Arctic Ice」の頭文字に由来するが、和名の「氷下魚(こまい)」も親しみやすい名称として訴求している。

北極海氷下観測ドローン「COMAI」の実機 北極海氷下観測ドローン「COMAI」の実機。黄色い小型機体に各種センサー、スラスター、航法装置を収める。北極域研究船「みらいII」から発進し、海氷下を自律航走して観測する装備として開発が進められている[クリックで拡大]

 COMAIは全長2270mm、重量330kgの小型機で、北極の海氷下を自律航走し、海氷の下側の形状や厚みを音響で計測する。加えて、海氷下の海水の塩分濃度、蛍光度、濁度、電気伝導度も計測可能。機体には、DVL、前方探査ソナー、音響通信装置、CTD計、慣性航法装置、デジタルカメラ、マルチビームソナー、蛍光光度/濁度計などを搭載する。

 海氷下では、通常のAUV運用以上に測位と通信が難しくなる。COMAIではGNSSを使えない海中で自機位置を推定するため、慣性航法装置とDVLを組み合わせている。加えて、COMAIと「みらいII」がARS(Acoustic Relay System)という中継器を介して音で通信しながら自律航走できるよう、現在最終調整を進めているという。

 COMAIはこれまでに5回の北極試験を実施し、航法技術、観測技術、推進技術、運用技術などの各要素を検証してきた。検証は2026年度が最終段階で、2027年度から北極域研究船みらいIIでの運用を目指す。氷の下を泳ぐ小さな魚のように、COMAIはみらいIIから離れて海氷下へ入り、海氷形状、氷厚、氷分布、水温、蛍光度、濁度、伝導度を観測する予定だ。

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