質疑応答では、改めて「なぜ今、純国産なのか」という問いが記者から投げかけられた。
高西氏は、日本人の特性として「みんなで力を合わせて一つの目標に向かうチームワーク」を挙げた。海外では個人の主張が強くチームが分解することもあるが、日本人は一度つながりができると粘り強いチームワークを生み出し、複雑なシステムを構築する際にその強みが発揮されるという。
また、橋本氏は「技能伝承」という言葉を強調した。
かつてヒューマノイド研究で世界をリードした日本の技術者たちは今、減少の一途をたどっている。KyoHAという場を通じて、若手からベテランまで、異なる企業のエンジニアが壁を越えて交流し、ノウハウを共有することは、失われつつある「ロボット大国・日本」の魂を継承する作業でもあるのだ。
KyoHAは今後、検証機であるSEIMEIをベースに「パワー系モデル」と「俊敏系モデル」の2方向の開発を加速させる。
パワー系モデルは、災害現場や建設現場などの過酷な環境下で、人間以上の力を発揮し、作業を代替する高出力型だ。
一方、俊敏系モデルは、成人サイズの体格を持ち、スポーツ用や家庭用など、多用途での利用を想定したモデルになる。
特に、日本が直面する自然災害への対応としてパワー系モデルの需要は高く、2026年度末〜2027年度頭には、より進化した「検証機第2号」の公開を目指すという。
佐々木氏は「2026年5月末には、今回けがをしたSEIMEIのリハビリを済ませ、歩行する姿をWebサイトなどでお見せしたい」と強調する。佐々木氏のこの言葉には、失敗を糧に即座に立ち上がるチームの自信があふれていた。
「SEIMEIに、まだ生命は宿っていない」。発表会の締めくくりに放たれた橋本氏の言葉は、自嘲ではなくこれからの進化に対する強い宣言に聞こえた。
資金力や物量では米中の巨大テック企業に劣るかもしれない。しかし、長年培われた精密なモノづくりの知見と、災害大国という切実な現場のニーズ、そして何より「日本技術を再び世界の頂点へ」というエンジニアたちのパッションが、京都の秘密基地には充満している。
純国産ヒューマノイドの検証機であるSEIMEIが真の意味で目覚め、日本の街角や災害現場で歩き出す日は、そう遠くない。KyoHAが仕掛けるこの「総力戦」は、停滞していた日本のロボティクスを再び動かす、巨大な起動スイッチとなるだろう。
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