動かぬ検証機「SEIMEI」に純国産ヒューマノイド開発に向けたKyoHAの覚悟を見たロボット開発クローズアップ(3/3 ページ)

» 2026年05月13日 06時00分 公開
[松永弥生MONOist]
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日本が誇る「連携の力」と技能伝承

 質疑応答では、改めて「なぜ今、純国産なのか」という問いが記者から投げかけられた。

 高西氏は、日本人の特性として「みんなで力を合わせて一つの目標に向かうチームワーク」を挙げた。海外では個人の主張が強くチームが分解することもあるが、日本人は一度つながりができると粘り強いチームワークを生み出し、複雑なシステムを構築する際にその強みが発揮されるという。

 また、橋本氏は「技能伝承」という言葉を強調した。

 かつてヒューマノイド研究で世界をリードした日本の技術者たちは今、減少の一途をたどっている。KyoHAという場を通じて、若手からベテランまで、異なる企業のエンジニアが壁を越えて交流し、ノウハウを共有することは、失われつつある「ロボット大国・日本」の魂を継承する作業でもあるのだ。

今後の展望:2026年度末の「第2号」へ向けて

 KyoHAは今後、検証機であるSEIMEIをベースに「パワー系モデル」と「俊敏系モデル」の2方向の開発を加速させる。

 パワー系モデルは、災害現場や建設現場などの過酷な環境下で、人間以上の力を発揮し、作業を代替する高出力型だ。

パワー系モデルのイメージ パワー系モデルのイメージ[クリックで拡大] 出所:KyoHA

 一方、俊敏系モデルは、成人サイズの体格を持ち、スポーツ用や家庭用など、多用途での利用を想定したモデルになる。

俊敏系モデルの概要 俊敏系モデルの概要[クリックで拡大] 出所:KyoHA

 特に、日本が直面する自然災害への対応としてパワー系モデルの需要は高く、2026年度末〜2027年度頭には、より進化した「検証機第2号」の公開を目指すという。

 佐々木氏は「2026年5月末には、今回けがをしたSEIMEIのリハビリを済ませ、歩行する姿をWebサイトなどでお見せしたい」と強調する。佐々木氏のこの言葉には、失敗を糧に即座に立ち上がるチームの自信があふれていた。

京都から世界へ、日本技術の「再起動」

 「SEIMEIに、まだ生命は宿っていない」。発表会の締めくくりに放たれた橋本氏の言葉は、自嘲ではなくこれからの進化に対する強い宣言に聞こえた。

 資金力や物量では米中の巨大テック企業に劣るかもしれない。しかし、長年培われた精密なモノづくりの知見と、災害大国という切実な現場のニーズ、そして何より「日本技術を再び世界の頂点へ」というエンジニアたちのパッションが、京都の秘密基地には充満している。

 純国産ヒューマノイドの検証機であるSEIMEIが真の意味で目覚め、日本の街角や災害現場で歩き出す日は、そう遠くない。KyoHAが仕掛けるこの「総力戦」は、停滞していた日本のロボティクスを再び動かす、巨大な起動スイッチとなるだろう。

実証機「SEIMEI」と会見に登壇したKyoHAに参画する企業や大学の代表者 実証機「SEIMEI」と会見に登壇したKyoHAに参画する企業や大学の代表者[クリックで拡大]

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