京都ヒューマノイドアソシエーション(KyoHA)が純国産ヒューマノイドの検証機「SEIMEI」を公開した。足首パーツの破損で動的デモを披露できないというトラブルを隠さず、未完成の現状をさらけ出したところにKyoHAの純国産ヒューマノイド開発に向けた覚悟が見えた。
2026年4月28日、平安神宮会館(京都市左京区)。新緑に包まれた歴史ある舞台で、日本のロボット産業の歴史に新たな1ページが刻まれた。京都ヒューマノイドアソシエーション(KyoHA)が、企画/設計/開発、そして構成部品の全てを国内で完結させることを目指す「純国産ヒューマノイド」の検証機を初めて報道陣に公開したのだ。
検証機のコードネームは「SEIMEI」。それは、知能と身体の融合を象徴し、日本の技術の誇りを結集させた存在である。今回発表されたのは、あくまで本格開発に向けた「出発点」としての検証機だが、そこには米中のロボット開発スピードと規模に危機感を抱く日本の産学のトップランナーたちの熱量と執念が宿っていた。
「SEIMEIの開発速度はすさまじい。絶対にアカデミアではできない」。KyoHAの理事長を務める早稲田大学 教授の高西淳夫氏は、冒頭のあいさつで驚きを隠さなかった。
2025年6月にKyoHA発足の記者会見を行い、同年10月の進捗発表会からSEIMEIの具体的な企画/設計を開始した。実機制作にかけた期間は約3カ月だという。この短期間で、今回の検証機公開までこぎ着けた。
通常、大学の研究室でロボットを製作すれば、トライ&エラーを繰り返しながら開発に数年を要することも珍しくない。しかし、KyoHAの運営形態は異例だ。京都の某所に設けられた「秘密基地」と呼ばれる拠点に、参画各社の一流エンジニアたちが集結。
毎日、毎晩のように膝を突き合わせ、実機を組み立て、テストを繰り返す「スタートアップのようなスピード感」で開発が進められているそうだ。
高西氏は、自身の師である早稲田大学 教授の加藤一郎氏が手掛けた1973年の「WABOT-1」を振り返り、「当時は鉄でできた機械が歩くはずがないとやゆされた」と語る。
半世紀を経て、今や世界中でヒューマノイド開発ラッシュが起きている。莫大(ばくだい)な投資を行う米国と中国に「悔しい思い」を抱いてきた高西氏にとって、日本企業の力が結集した今回のプロジェクトは、まさに「胸を張ってヒューマノイド研究ができる」待望のプラットフォームなのだろう。
続いて登壇したKyoHA 理事で早稲田大学 教授の橋本健二氏により、検証機であるSEIMEIの全貌が明かされた。
SEIMEIという名前には、ロボットに生命(ライフ)を吹き込むという願い、そして「知能と身体の融合」という意味が込められている。また、京都という地にちなんだ安倍晴明への連想も、開発チームの遊び心として会場では語られていた。
橋本氏は、このロボットを「一般の乗用車の部品を使ってF1を作っているようなもの」と例える。今回は開発初期段階の検証機という立ち位置から、新規の部品開発は行わず、各社が現状で提供できる既存の技術や製品を結集させている。これは、今の日本の「既存技術」でどこまで世界に通用する機体が作れるのか、そして何が足りないのかを明確にするための戦略的なステップである。
参画企業は、テムザック、村田製作所、SREホールディングスを筆頭に、マブチモーター、カヤバ、NOK、ヒーハイスト、住友重機械工業、ルネサス エレクトロニクス、日本航空電子工業、住友電気工業、ローム、アイシン、アークなど、日本の製造業を支えるそうそうたる顔ぶれが並ぶ。大学では、早稲田大学、OIST(沖縄科学技術大学院大学)が参画している。
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