長谷工コーポレーションは5月9日、大阪・関西万博で展示されたアンドロイド3体の一般公開を、長谷工マンションミュージアムで開始した。アスカロイド2体が対話する様子も披露した。
長谷工コーポレーションは、「長谷工マンションミュージアム」(東京都多摩市)で、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のシグネチャパビリオン「いのちの未来」(通称:石黒館)で展示されたアンドロイド計3体の一般公開を2026年5月9日に開始した。同年4月30日に開催した記者発表会には大阪・関西万博公式キャラクターのミャクミャクも登場し、報道陣に向けて新たな常設展示を披露した。
展示するのは、ロボット工学の第一人者である大阪大学 基礎工学研究科教授の石黒浩氏が大阪・関西万博のために開発した、「MOMO(モモ)」と「アスカロイド」だ。
1000年後の人間をイメージして製作したMOMOは、高さ200×幅80×奥行140cmのアンドロイドだ。全身が柔らかい皮膚のような質感のシリコンで覆われており、大阪・関西万博では背面のアームによって空中を浮遊するような動きを見せた。ミュージアムでは1体が展示され、天井高の都合で稼働はしないものの、至近距離で造形を観察できる。
アスカロイドは50年後の未来をイメージして製作されたアンドロイドだ。サイズは高さ128×幅37×奥行66cmで、従来の機体を大阪・関西万博用に子ども型へと改良した。万博会場ではそれぞれ単独で動作していたが、ミュージアムでは2体が連携し、来場者に感想を問いかけるような対話シーンを新たに披露する。長谷工マンションミュージアム館長の江口均氏は、「今は一方的にしゃべる形だが、将来は生成AI(人工知能)を活用して来場者と会話できるようになることもあるかもしれない」と語り、さらなる進化への期待をのぞかせた。
機体を開発した石黒氏は「MOMOもアスカロイドも大阪・関西万博オリジナルの機体だ。特にMOMOは、全身をシリコンの皮膚で覆って稼働させた初めてのアンドロイドであり、180日間の会期中に壊れないか冷や冷やしたものの、無事に展示を終えることができた。ミュージアムで万博のレガシーを見てもらえれば」と語った。
さらに見どころについて問われると「やはりその美しさだと思う。機体の美しさに、きれいな衣装や照明が当たっているので、ぜひそういったところを見てもらいたい」(石黒氏)と述べ、こだわりの造形美をアピールした。
長谷工コーポレーションは、大阪・関西万博のテーマ事業「いのちの未来」にプラチナパートナーとして協賛し、開催期間中にこれらのアンドロイドを同社から貸与する形で展示していた。長谷工コーポレーション代表取締役社長の熊野聡氏は、「大阪・関西万博で大人気だったアンドロイドがこのミュージアムに“転勤”してくる。刻一刻と進化するテクノロジーと、住まいとの関係性を示す展示にしたい」と語った。
アンドロイドの“転勤先”となる長谷工マンションミュージアムは、長谷工グループ創業80周年を記念して2018年に開設した企業博物館だ。9つのゾーンを通じて、マンションの構造から歴史、未来までを体感できる。2025年6月に新設した「これからの住まいゾーン」では、石黒氏が代表を務めるAVITAとTOPPANの共同により、AIやアバター技術を用いた15年後のマンション空間を展示している。
ミュージアムは通常、完全予約制としているが、2026年5月11日からの約2週間は、午前中のみMOMOとアスカロイドの展示エリアを予約不要の先着順で自由に見学できる。その後は通常通り予約制の見学とする予定だ。(開館日:月〜金曜日、第2/4土曜日)
2025年日本国際博覧会協会事務総長の石毛博行氏は「万博は一過性のイベントではなく未来社会の実験場だ。その成果を社会に還元することこそが万博の本質であり、今回の展示はまさに、その理念が形となって受け継がれる瞬間である」と語った。
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