日立と日立ハイテクが独自エッジAI半導体を開発、先端GPU比で処理効率10倍以上人工知能ニュース

日立製作所と日立ハイテクは、産業分野向け次世代ソリューション群「HMAX Industry」を支える基盤技術として、各種産業用機器への組み込みを前提としたエッジ向け軽量AIモデルと、同AIモデルを効率良く処理できるエッジAI半導体を開発した。同AIモデルを最先端GPUで処理する場合と比べて10倍以上高い電力効率を達成したという。

» 2026年04月27日 07時45分 公開
[MONOist]

 日立製作所(以下、日立)と日立ハイテクは2026年4月24日、産業分野向け次世代ソリューション群「HMAX Industry」を支える基盤技術として、各種産業用機器への組み込みを前提としたエッジ向け軽量AI(人工知能)モデルと、同AIモデルを効率良く処理できるエッジAI半導体を開発したと発表した。同AIモデルを最先端GPUで処理する場合と比べて、10倍以上高い電力効率を達成したという。今後は、開発したエッジAI半導体を、現場での処理を高速かつ省電力に実行するキーコンポーネントとして、「HMAX Industry」が対象とする工場/物流/ビル/エネルギーなどのプロダクト群へ横断的に展開していく方針である。

 今回開発した技術のポイントは3つある。1つ目は、産業用プロダクトにそのまま組み込めるエッジ向け軽量AIモデルである。工場やビル設備などで使われる装置は消費電力や設置スペースに制約があるため、多くの演算量を必要とするAIモデルを処理するための半導体を装置内に載せにくいことが課題だった。新開発のエッジ向け軽量AIモデルは、画像の微細な違いを捉えるCNN(畳み込みニューラルネットワーク)と全体の傾向を理解するトランスフォーマーという2種類の深層学習モデルを組み合わせることで、AIモデルの装置内実装に必要な軽量性と、検査/監視など産業用途で求められる高い推論精度を両立したとする。

 また、このエッジ向けAIモデルは、特定の産業用プロダクトに依存しない仕様になっているという。今後は、広範な検査/計測装置や産業機械で実装/評価を進めながらユースケースを広げていく方針である。

 2つ目は、このエッジ向け軽量AIモデルを、産業分野の代表的な用途である「検査/監視」に適用した場合、処理にかかる時間と負荷を大幅に削減可能なことを確認した点だ。高精度が求められる検査/監視では、多枚数撮像や複雑な解析がAIモデルの処理のボトルネックとなるケースが多くある。

 今回、日立ハイテクが半導体検査/計測分野で高シェアを有するCD-SEM(測長SEM)の実測データを用いた検証を行ったところ、これまで多枚数の画像を重ねて行っていた高精度計測処理を、1枚の画像に対するAI処理で置き換えられる可能性を確認したという。これにより、撮像回数を減らしながら必要な精度を確保できる見通しが得られ、製造ラインのインライン検査/計測の高速化と装置負荷低減につながることを確認できたとする。同様のコンセプトを、部品外観検査や設備状態監視など他分野の検査/監視装置にも順次適用していく方針である。

CD-SEM実測データの原画像(左)とエッジ向け軽量AIモデルによる処理後の画像(右)の比較 CD-SEM実測データの原画像(左)とエッジ向け軽量AIモデルによる処理後の画像(右)の比較[クリックで拡大] 出所:日立

 3つ目は、エッジ向け軽量AIモデルの処理を装置内で省電力に行える独自のエッジAI半導体である。エッジ向け軽量AIモデルの演算に合わせて回路を設計したチップを評価したところ、同AIモデルを最先端GPUで処理する場合と比べて10倍以上高い電力効率で処理を実行できること、産業用装置内で使用可能な電力範囲で安定動作することを確認した。これにより、従来は専用サーバが必要だった高度なAIモデルの処理を、製造設備、検査装置、ロボット、物流機器、ビル/エネルギー設備など、実際の現場装置に組み込んで運用するめどが付いた。今後は実装フェーズに移行することになる。

 なお、試作したエッジAI半導体の外形寸法は3×3.3mm。メモリとAIモデルの処理を担うAIエンジンの他に、16チャネル高性能A-Dコンバーターや疑似画像生成器などが集積されている。

試作したエッジAI半導体の外観(左)と回路構成(右) 試作したエッジAI半導体の外観(左)と回路構成(右)[クリックで拡大] 出所:日立

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