エッジAIのメリットについて、マクニカ アルティマカンパニー 第1技術統括部 応用技術第5部 主幹の清田文彦氏は、「クラウドを介さず端末側で処理を行うため、低遅延での推論が可能となる。データの外部送信が不要なため機密情報の漏えいを防げるほか、通信費やサーバ費用といった運用コストの大幅な低減にもつながる」と説明した。
マクニカのパートナー企業である、米国企業のSiMa.aiが展開する推論特化型SoC(System on Chip)は、クラウドに依存せず高速で低消費電力で動作するのが特徴である。マクニカ テクスターカンパニー 第1技術統括部 第2部 第2課 課長の長尾洋氏は、「高性能チップの登場により、これまで大規模AIデータセンターで行われていた処理がエッジ単独で動作可能になる」と語った。
SiMa.aiが展開するチップはSoCタイプであるため、1チップを組み込むだけで生成AIやフィジカルAIのエッジ単独動作を実現し、16ストリームのデータをリアルタイムで同時処理する能力を備えている。従来の物体検知にとどまらず、LLM(大規模言語モデル)やVLM(視覚言語モデル)もサポートしている。
「具体的な活用領域としては、店舗分析や受付案内の他、産業機器の予知保全や品質検査、自動車および搬送ロボットのADAS(先進運転支援システム)、カーナビゲーションや車室内制御などが期待されている」(長尾氏)
AI導入前のロボットはプログラミングされた単純作業しか実行できず、複雑な作業には人間の介入が不可欠だった。しかし、AIの導入により、ロボットは人間の作業を代替し、自律的にデータ収集と学習を繰り返しながら複数のタスクに対応できるようになった。
一方で、高度な作業をロボットに習得させるためには、現実のデータを大量に収集しなければならないという課題がある。クラビスカンパニー技術第4部の橋本聡氏は、「人間の作業を代替するためのデータを大量に集めるには、デジタル空間上に現実を再現するデジタルツインでのシミュレーションが極めて重要になる」と説明した。
マクニカはNVIDIAの技術を活用し、フィジカルAI開発の基盤となる「デジタルツイン環境の構築」「ロボットシミュレーション」「学習データの拡張」「ロボットの実機検証」という4つのコア技術を構築している。
デモンストレーションではこれらを応用し、ロボットの目と手を再現する技術を披露した。AIがカメラから取得した情報から状況を判断し、器に入ったペンをロボットアームが自律的にもう一方の器へ正確に移し替えた。同社は今後、これらのコア技術をさらに発展させ、ヒューマノイドロボットの研究も検討していく方針だ。
生成AI実行時の消費電力が10W以下に SiMa.aiのSoC「Modalix」の実証結果を公開
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