生成AI実行時の消費電力が10W以下に SiMa.aiのSoC「Modalix」の実証結果を公開組み込み開発ニュース(1/2 ページ)

マクニカはオンラインでセミナーを開催し、エッジAIの現場実装におけるKPIや評価プロセスの進め方とSiMa.aiの製品を活用した実装評価結果について説明した。本稿では、セミナーに登壇した富士ソフト 技術管理統括部 先端技術支援部 AIソリューション室 室長の福永弘毅氏による講演内容の一部を紹介する。

» 2026年02月10日 07時30分 公開
[坪田澪樹MONOist]

 マクニカは2026年1月28日、オンラインでセミナーを開催し、エッジAI(人工知能)の現場実装におけるKPI(重要業績評価指標)や評価プロセスの進め方と、米国に本社を置きフィジカルAI向けに特化したAIプラットフォームを展開しているSiMa.aiの製品を活用した実装評価結果について説明した。本稿では、セミナーに登壇した富士ソフト 技術管理統括部 先端技術支援部 AIソリューション室 室長の福永弘毅氏による講演内容の一部を紹介する。【訂正あり】

【訂正】マクニカからの申し入れにより初出時に公開していた画像を取り下げました。お詫びして訂正いたします。[編集部/2026年2月10日午後2時25分]

省電力で高いパフォーマンスを発揮 SiMa.aiの「MLSoC Modalix」

 セミナーではSiMa.aiが第2世代のSoC(System on Chip)として提供している「MLSoC Modalix(以下、Modalix)」を用いた実装評価事例を紹介した。同チップは、競合他社の製品と比較して、半分以下の消費電力で同等かそれ以上のパフォーマンスを発揮でき、生成AI実行時の消費電力は10W以下である。これにより、電力バジェットに限りがあるFA現場で重要なファンレス設計も実現可能だ。さらに物体検知だけではなく、LLM(大規模言語モデル)やLMM(マルチモーダル大規模言語モデル)など、エンドツーエンドのアプリケーションを1つのチップで処理できる。福永氏は「他社のGPU SoM(System on Module)と比較した際に、システム開発でCUDAが使えないというデメリットが存在しているが、同等性能で消費電力が低いという特徴は製造現場で効いてくると思っている」と評価する。

第1世代「MLSoC」と第2世代「MLSoC Modalix」の違いについて[クリックして拡大] 出所:マクニカ

 セミナーでは物体検出モデルの「YOLOv7」とModalixを組み合わせ、推論速度を検証した事例を紹介。交通量調査をモデルケースとし、単一パイプラインの評価と並列処理(4ストリーム同時)の評価を実施した。

 単一パイプライン評価では、他社製のGPU SoMを使用した場合と比較して3倍以上の速度で入力映像を処理できたという。「実際の現場では、複数カメラの活用というのが非常に多いと思っている。今回の結果のような映像の『落ちにくさ』は大きな意味をもっており、監視カメラ用途であれば15fpsぐらいで十分なため、16カメラ同時処理も可能である」(福永氏)。

 さらにセミナーではModalixを用いた生成AIの実装/検証事例を紹介した。生成AIの利用目的として最もニーズのあるRAG(社内文書検索/要約)実装を前提として、LLMにおける約1000文字の日本語生成について検証した。比較対象はPC(Intel Core i5-13500T/16GB/ディスクリートGPUなし)と他社製のGPU SoMである。

 結果については、他社製のGPU SoMと比べるとやや遅いが、今回の検証のために用意したスペックのPCと比較すると遜色ない性能を発揮していた。ただし、十分に最適化されているモデルの場合はGPU SoMの方が高速になっている。「この検証で使用したモデルは32GBというメモリに搭載できるものを選択している。エッジAIではこれぐらいが今のところは限界だと考えている。ただ、この検証で肝心な部分はModalixが10W以下の電力で動いていることである」(福永氏)。

 エッジAIを実装する上でハードウェア性能と同じぐらい重要なのが、ソフトウェアの開発効率だ。SiMa.aiのModalix向けには、ローカル開発環境の「Modalix Palette SDK」とクラウド開発環境の「Modalix Edgematic」が提供されている。Modalix Palette SDKに関しては、LinuxのホストPCなどを用意しなければならずハードルが高い。一方、Modalix Edgematicは初期セットアップやパイプライン設計が非常に容易であり、クラウド上でGUIを使用してノーコードでつなぐことができる。作業者の学習コストも下げやすいという特徴もある。

SiMa.aiが提供する製品群[クリックして拡大] 出所:マクニカ

 福永氏は「UIの部分は非常によくできているが、結局アルゴリズムはコーディングをしなければならない。また、モデルのエコシステムがまだメジャーなものが中心で、最新のモデルの追従に少し時間がかかる。案件の特性によっては工夫が必要となる」と分析している。

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