山善やINSOL-HIGHら4社はヒューマノイドロボットの実用化を目指す新団体を設立。千葉に50台規模のデータ工場を新設し、現場稼働に必要な動作データを収集する。2026年の稼働を予定している。
INSOL-HIGH、山善、ツムラ、レオン自動機の4社は2026年3月26日、ヒューマノイドロボットの社会実装を目的とした新団体「J-HRTI(Japan Humanoid Robot Training & Implementation:ジェイ ハーティ)」を設立したと発表した。J-HRTIはヒューマノイドロボットの製造や物流現場での実運用を目指す、産業横断型の民間コンソーシアムである。
組織体制としては、山善、ツムラ、レオン自動機が運営委員として参画し、運営委員長には山善 専任役員 トータル・ファクトリー・ソリューション支社長の中山勝人氏が就任した。INSOL-HIGHは事務局を務め、全体の制度設計やデータ基盤の運営を包括的に担う。同日、東京都品川区の山善本社で記者発表会を開催し、コンソーシアムの概要と、2026年7月から稼働する「フィジカルAI・データ収集センター」の詳細を説明した。
事務局を務めるINSOL-HIGHは、これまでもヒューマノイドロボットの社会実装に向けた取り組みを進めてきた。2025年4月に山善と業務提携を締結し、ヒューマノイドロボットの社会実装に向けた共同プロジェクトを開始した。
同年10月には東京納品代行を含めた3社共同で、東京納品代行が運営する東京ベイ・ファッションアリーナ(千葉県市川市)で実証実験を実施。自動倉庫から搬送されたケースの中身をピックアンドドロップする作業において、ロボット単体でのピッキング成功率97%、平均タクトタイム131.0秒を記録した。また、同年12月には「2025国際ロボット展(iREX2025)」において自律走行搬送ロボット(AMR)と連携した自動化デモンストレーションを公開するなど、技術的な基盤づくりを進めてきた。
ヒューマノイドロボットは、米国、中国をはじめ世界各国で開発競争が激化している。AI(人工知能)学習を活用し、複雑なプログラミングを必要としない手法も確立されつつあり、次世代の根幹産業として高い注目を集めている。市場規模予想についても、2035年のグローバル市場規模は200兆円(ゴールドマン・サックス調査)、2030年の日本国内市場規模は15兆円(内閣府の経済統計に基づきINSOL-HIGHが推計)と急成長が予測されている。
しかし、INSOL-HIGH代表取締役の磯部宗克氏は、「現状のヒューマノイドロボットはマラソンやダンスといったパフォーマンスの域を出ておらず、実用的とはいえない。実社会の複雑な業務へ本格的に導入するためには、現場での実稼働を支える膨大な『フィジカルデータ』が不足している」と市場の課題を語った。
一部では「先行する海外のデータプラットフォームを活用すべきでは」との指摘もあったというが、次のように反論した。「ロボットが動作を学習するために必要な動画などのフィジカルデータは、各現場のノウハウに直結する極めて秘匿性の高い情報だ。セキュリティや競争力の観点から、海外データの活用や海外基盤へのデータ提供は現実的ではない。日本国内において安全にデータを蓄積し、実務に基づく学習モデルを構築できる独自の基盤が必要不可欠であった」(磯部氏)。こうした背景から、国内企業が共同で実証環境を整備し、現場の実用性に特化した自律動作プログラムを開発するためのコンソーシアム「J-HRTI」設立に至った。
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