そして、このデータ収集基盤の要としてJ-HRTIが新たに設立するのが、「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」だ。千葉県湾岸エリアに約1400m2の敷地を確保し、2026年7月の稼働を予定している。ヒューマノイドロボットの社会実装に向けた実証拠点とする。
センター内には、中国 AgiBotの「G1」「G2」を中心としたヒューマノイドロボットを最大50台導入する計画だ。運用体制については、ロボットに動きを教え込むオペレーター50人に加え、収集したデータを解析するアノテーターなどを含め、約100人のスタッフが常駐予定だという。
施設内は、役割に応じて3つのエリアに分割して運用される。オペレーターによりロボットのフィジカルデータを集中的に取得する「ロボットエリア」、収集された動作映像や作業データを精査しAI(人工知能)が仕事を理解できる形式へと変換する「アノテーションエリア」、参画企業ごとの導入案件に対応し、実際の作業環境を忠実に再現しながら最終的な動作検証などを行う個社向けの「テストエリア」だ。
参画企業らは、「横断的なデータ収集」「設備投資の分担」「実証環境の共有」を活動の主軸とし、1社単独ではハードルの高い膨大な現場データの収集や、検証環境の構築を異業種企業の連携によって実現する構えだ。参画企業へは導入から改善までのロボット基盤のサンプルデータを提供する。
設備投資は参画企業で分割負担する形式だ。運営委員は現状3社だが、磯部氏は「参画を検討中の企業もいるが、センター稼働後が本格的な(コンソーシアムの)普及期になると考えている。1社では重い設備投資の負担もコンソーシアムなら分割できる。自社のビジネスモデル構築や現場の自動化検証にぜひ役立ててほしい」と述べ、さらなる企業の合流に期待を寄せた。
そもそもヒューマノイドロボットを自律的に動かすためにはどのような技術が用いられているのか。INSOL-HIGHでは、「VLA(Vision-Language-Action)」と呼ばれる仕組みを採用している。
ロボットに実世界の動作を学習させるアプローチの基盤となるのが、人間による「模倣学習」である。具体的には、4つのセンサーを搭載したVRゴーグルを装着したオペレーターがロボットの近くに立ち、対象となる作業を何千回と反復して実行する。センサーがロボットやコントローラーとの距離などを正確に測定し、人間の細やかな動きをデータとして取り込んでいく仕組みだ。
取得したデータを、システム側で動画の解析結果や視覚情報、言語モデルに協調させることで、状況に応じて次にどのような動作をとるべきかを判断するモーションプランニングを実施する。
一連の学習データは、INSOL-HIGHが独自に提供する「REAaL Platform」へと集約する。同基盤はヒューマノイドロボットに特化したプラットフォームであり、ロボットマネジメントシステムやWES(倉庫運用管理システム)、トレーニングデータの収集といった機能を備えている。コンソーシアムの活動を通じて収集された膨大なフィジカルデータをこのプラットフォームに蓄積し、現場で実装可能な知能へと変換することで、VLAの仕組みを介してヒューマノイドロボットの自律制御を実現していくのが技術の全容だ。
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