Genzo AIは、「翻訳」「中間処理」「先行文献調査」「FTO(侵害予防)」「契約書レビュー」「明細書作成」など、さまざまな知財の業務をサポートする。
「翻訳」では日本語の明細書を高精度に英語や中国語へ翻訳できる。「中間処理」では、拒絶理由通知への対応案を論理構築可能で、審査官の判断を評価し補正案も示せる。「先行文献調査」では関連文献を自動調査し、特許性判断の結果を出力する。
「FTO」では、開発資料をGenzo AIにドロップすることで他社の特許権を侵害していないかを確かめられ、一次スクリーニングを全自動化できる。「契約書レビュー」では、契約書案をGenzo AIにドロップすると、簡易レビューを行える。「明細書作成」では、発明/発掘に関する明細書作成をAIがサポートする。
Genzo AIのUIは、直感的に操作できるシンプルなデザインを採用している。基本操作はドラッグ&ドロップで、対象ファイルをGenzo AIにドロップし「生成」のボタンを押すだけとなっている。対話形式でプレビューが行え、その場でAIの微調整にも応じる。
Genzo AI 代表取締役社長の川村亮太氏は「Genzo AIの最大の特徴はAIと人が協働する実務直結型のシステムである点だ。AIが超高速で論理構築や提案を行い、その結果を専門家が確認し修正するという『Human in the Loop』で運用するシステムとなっている。これにより、属人化しやすい業務を均質化し誰でも高品質なアウトプットを出せるようになると同時に、社内で処理できる範囲を広げられる」と語った。
Genzo AIの強みとして「ユーザー数無制限」「カスタムプロンプト」「安心のセキュリティ」「実務直結の設計」「品質とコストの両立」を挙げている。
「ユーザー数無制限」では、利用者数が増えてもライセンス料は均一で、全社的な知財啓蒙(けいもう)活動に適しているという。「カスタムプロンプト」では、ユーザー企業特有の言い回しや指示を登録/共有できる。
「安心のセキュリティ」では、Genzo AI社員もアクセスできない国内のAWSサーバ上の領域でデータをセキュアに管理する。「実務直結の設計」では、島津製作所のノウハウを凝縮したHuman in the Loopの設計を行っている。「品質とコストの両立」では、属人化しやすい業務を標準化し、外部コストを減らせる。「セキュリティに関して、「Genzo AIの基盤モデルはChatGPTとGeminiだ。クラウドを用いるのでデータセキュリティを懸念する方もいると思うが、データは日本国内のAWSサーバにのみ保存される。一定期間(60日)で完全に破棄され、ユーザーによる即時削除も可能だ。Genzo AIの運営側すらユーザーのデータにアクセスできない」(川村氏)。
Genzo AIの販売希望価格は年間100万〜1500万円(企業規模に応じた基本料金および従量課金制、ID数無制限、税込み)だ。年間利用料は、ベース基本料金、知財規模係数、従量料金から成る。ベース基本料金は選択した機能パッケージに基づく基本価格だ。知財規模係数は、年間特許出願実績に基づく設定(例:年間12件までは係数1)を採用している。従量料金は実際のAIトークン利用料に応じた費用となる。Genzo AIのローンチ特別キャンペーンとして2026年4月1日〜9月末まで従量料金は無料となる。
川村氏は「料金は『出願』『他社特許調査』『契約』などのパッケージを用意し、企業の月間出願件数をベースに乗算するモデル(平均500万円弱を想定)を検討中だ」と触れた。
Genzo AIは、大手メーカーや少人数で知財業務を行う中堅/中小企業、予算/人手不足に悩む大学/研究機関に、今回のプラットフォームを年間契約のSaaS形式で提供する。販売目標としては、2026年度に40社、2030年度に320社と売上高15億円を掲げている。「当面はアーリーアダプターとして大手の電機メーカーや化学メーカー、製薬メーカーをターゲットにしている」(川村氏)。
Genzo AI 社外取締役 兼 島津製作所 知的財産部 部長の阿久津氏は「今『Gemini』『ChatGPT』が流行している中で特化型のAIがなぜ必要なのかについて説明したい。実は日本の製造業を中心に業務の短納期化が求められてきている。製品開発ライフサイクルが非常に短くなっているからだ。例えば、6カ月で製品を開発しなければならないというプロジェクトで特許の調査や出願に何カ月もかかっているようではそれはボトルネックになる。しかも、ベテランの知財専門家の人手不足が深刻だ。属人化したノウハウを継承するのも難しい」と警鐘を鳴らす。
加えて、「昨今の円安と物価高にも影響を受けている。米国や欧州では1件の特許を出願するために、約100万円かかる。大手メーカーの場合、米国や欧州で数千件の特許を出願するため、巨額の費用がかかっている。日本企業が特許を権利化したり維持したりするために外部の企業に払っているコストの総額は当社の推計によれば6兆〜7兆円となる。それのほとんどが実は海外に流出している」とコメントした。
米国をはじめとする国外で特許の権利化や維持に多額のコストがかかるのにはさまざまな要因があるという。
阿久津氏は「発明者のアイデアを難しい文章にするのにコストがかかる。しかもその文章化したものを国内外で初なのかについて各国の特許庁で審査する。その審査では日本の特許庁にもお金を払う。特許庁への取次のために弁理士にもコストを払う。実は各国でその特許が同じ価値を発揮するために多くのコストがかかっている。当社のGenzo AIがさまざまな企業に使用され、特許庁も対象の特許が世界初かどうかをチェックするAIを導入すると、人件費を大幅に減らせる。そうなると特許の出願に当たり特許庁に払っているコストも削減されるだろう。当社が目指しているのはその先だ。それは民間や特許庁でAIにより知財業務が自動化されることで、迅速に特許を取得できる社会だと考えている」と展望を示した。
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