Waymoの自動運転技術は第6世代へ、東京でもテストを重ねサービス開始は間近?自動運転技術(2/2 ページ)

» 2026年03月30日 07時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
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東京でのサービス開始は「何年もかからない。数カ月で提供できると感じた」

 Waymoドライバーは、LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)やレーダー、カメラ、マイクなどのセンサーとAI(人工知能)コンピューティングプラットフォームから構成されるハードウェア、サービス提供の当初から最新技術を取り入れてきた自動運転のためのAIソフトウェアが統合されたシステムである。

Waymoドライバーのセンサーとコンピュータの設置位置 Waymoドライバーのセンサーとコンピュータの設置位置[クリックで拡大] 出所:Waymo

 東京でのテストドライブをはじめ、現在運用されているハードウェアは第5世代となる。車両屋根の上部に設置されている車両の全周を検知する360度LiDARを筆頭にLiDARは5個、360度LiDARの下部に組み込まれた360度ビジョンシステムをはじめカメラシステムは10個、夜間や曇り/雨のときに情報を補完するレーダーが6個、マイクも4個搭載している。

WaymoドライバーのLiDARとカメラシステム、レーダーの概要 WaymoドライバーのLiDARとカメラシステム、レーダーの概要[クリックで拡大] 出所:Waymo

 パニグラヒ氏は「これらのセンサー情報を統合して、人の目に見えていないものを含めてリアルな3D映像を作り出し、周囲の環境をしっかり捉えられる」と説明する。また、既に運用を開始している第5世代に続けて第6世代のハードウェアの開発も始まっている。新機能としては、降雪時や路面凍結への対応が可能になる他、第5世代と比べてハードウェアコストの削減も期待できるとしている。

Waymoドライバーによって作り出した3D映像(上)と実際の道路の状況(左) Waymoドライバーによって作り出した3D映像(上)と実際の道路の状況(左)[クリックで拡大] 出所:Waymo
次世代に当たる第6世代のハードウェアの開発も始まっている 次世代に当たる第6世代のハードウェアの開発も始まっている[クリックで拡大] 出所:Waymo

 Waymoドライバーの開発において、パニグラヒ氏が強調したのが「いかに良いWaymoドライバーを作るかが重要であり、われわれは自動車そのものは作らない」ことだ。「世界中の自動運転が可能な車両を開発している自動車メーカーと連携することが重要だ。日本ではトヨタ自動車と連携する方針であり、自動運転車の開発に向けてどのようなことができるかを共に検討している」(同氏)。

 Waymoドライバーを構成するもう一つの重要な構成要素が自動運転AIソフトウェアである。Waymoは機械学習をいち早く取り入れており、生成AIの基盤となるトランスフォーマーもサービス開始の段階から導入したという。現在は「Waymo Foundation Model」を基に、ドライバー不要の完全自動運転に求められる3つの要素を実現している。

「Waymo Foundation Model」の概要 「Waymo Foundation Model」の概要[クリックで拡大] 出所:Waymo
「Waymo Foundation Model」に基づく自動運転のプロセス 「Waymo Foundation Model」に基づく自動運転のプロセス[クリックで拡大] 出所:Waymo

 1つ目は、ドライバーの目や耳などに対応する「Sensor Fusion Encoder」だ。先述した、Waymoドライバーのセンサーから得られる情報の融合によって作り出したリアルな3D映像からリアルタイムに周囲の環境を認識する。2つ目は「Driving VLM」で、リアルな3D映像を使ってVLM(視覚言語モデル)を基に周囲環境で何が起きているかを分析する。

 そして3つ目が「Generative World Decoder」で、自動運転に向けた総合的な判断を行う。パニグラヒ氏は「例えば、一般的には信号が赤から青になったら走り始めて良いはずだが、そこに警官がいて信号と異なる指示を出している場合は別の判断しなければならない。WaymoドライバーのAIは、収集した全ての情報を基に時間をかけて正しい判断をしていくことになる」と述べる。また、何らかの問題が起きた時の対応として、これらの判断のプロセスがブラックボックスにならないように、起きたこと全てを検証して振り返られるような仕組みになっている。

 Waymoドライバーのよる運転から得られる情報に加えて、Googleの生成AI「Gemini 3」などを用いて構築したシミュレーション環境による検証の組み合わせが、Waymoドライバーをより良いものにしていくフライホイールとなっている。「シミュレーション環境では、20匹の犬が走ってくる、マリオカートが100台走行している、火災が発生するなど極めてまれな交通シーンも作り出せる。そのような状況でも、どうすれば安全な走行ができるかの学習ができる」(パニグラヒ氏)という。

好循環を促すWaymoのフライホイール 好循環を促すWaymoのフライホイール[クリックで拡大] 出所:Waymo

 Waymoは現在、東京都内でテストドライブを実施しており、今後も日本交通、GOとのパートナーシップの下で作業を継続する。パニグラヒ氏は「同じ大都市である東京とサンフランシスコを比較すると、もちろん交通ルールは異なるが多くの共通点もあり、サンフランシスコの知見を東京での自動運転サービスにも生かせると考えている。実際にテストドライブに同乗して、東京での自動運転サービスの開始は今後何年もかかるものではなく、数カ月で提供可能な段階まで来ていると感じた」と述べている。

 なお、実際に自動運転サービスを東京都内で提供するには、法規制への対応に加え日本政府や東京都の調整などが必要であり、“数カ月”という表現は技術的可能性という意味合いだとみられる。

東京とサンフランシスコは交通ルールが異なるものの共通点も多い 東京とサンフランシスコは交通ルールが異なるものの共通点も多い[クリックで拡大] 出所:Waymo

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