これらのステップを踏んだ後、実使用を模擬した環境で、模擬咳に含まれるウイルス粒子を次亜塩素酸により不活化できるかを検証した。
試験場所はIAQ検証センター(愛知県春日井市)のBSL2試験室内の除菌評価室で、部屋のサイズは25m3となる。回転湿式静電捕集機と模擬咳発生距離の位置関係については、高さ1mで、距離は2m、1.5m、1mで行った。室内の気体状次亜塩素酸濃度は約10ppbで、温度は約23℃、湿度は約50%RHとした。模擬咳発生装置では、インフルエンザウイルスA(H1N1)を含む咳を模擬した粒子を、5秒間隔で3回噴霧した。
具体的な手順は以下の通りだ。まずインフルエンザウイルスの飛沫粒子を模擬咳発生部より3回正面方向へ噴霧する。これは空間中に約10ppbの気体状次亜塩素酸が「あり」と「なし」の条件で行う。噴霧後、インフルエンザウイルスの飛沫粒子を対向の回転湿式静電捕集機で回収。回転湿式静電捕集機で集めたインフルエンザウイルスの感染価(TCID50)を評価し、比較して不活化率を算出する。
この検証の結果、空間中に約10ppbの気体状次亜塩素酸が「あり」の場合は、「なし」の場合と比べて、距離2mでインフルエンザウイルスの飛沫粒子を98.5%以上不活化できることが分かった。さらに、距離1.5mで92.9%の、距離1.0mで64.1%のインフルエンザウイルス飛沫粒子を不活化可能なことも判明した。
岡本氏は「実験では気体状次亜塩素酸で10ppbの濃度を厳密にコントロールしているが、実際の家庭では換気量や建物の気密性により条件が異なる。ただし、同様の濃度条件が整えば、理論上は次亜塩素酸空間除菌脱臭機『ジアイーノ』などの製品でも同様の効果が期待できると考えている」と語った。
その上で、「将来的にはこの知見を事業につなげたいと思っている。今後、ジアイーノを使って同じような効果が出るかなど、検証していきたいと考えている」と意気込んだ。
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