そこで三菱電機は、導体のたわみを防ぐために、真空容器外にあるアンコイラーでの導体の送り速度と容器内における巻き取り速度が合うように、ターンテーブルの回転速度を調整できるようにした。
加えて、コイルがターンテーブル上の巻き枠に強く押し付けられる配置しかとれず、巻き枠が変形して導体がひずむ懸念があったため、巻き枠を高強度化し、巻き枠の半径方向縮みを0.5mm以下となるように設計した。
三菱電機 電力システム製作所 原子力部 放射線計装設計課 副課長の堀井弘幸氏は「真空容器内が狭いため、絶縁テープを導体に巻く装置を出口側に置けなかった。解決策として、ガイドローラーの役割を兼ねる『導体位置保持機構』を、絶縁テープを巻く装置に搭載した。これにより、導体に対して絶縁テープがこすれずに等ピッチで巻けるようにした」と語った。
コイルをコイルケースに装着した後の整形について、当初はコイルの一部を押すと他の箇所が変形するなどの問題が発生していたため、QSTと三菱電機は打開策を話し合った。そして、コイルを最終的に取り付ける周方向の18カ所の容器固定座に「コイル位置調整機構」を設けて、ダイヤルゲージで微小な変位量を確認しながら位置調整し、随時レーザートラッカーでコイル形状と位置を計測して、整形と位置出しを同時に進めることとした。
その結果、コイル中心の位置や、コイルの半径と高さを目標値±2mm以内とするという技術課題を克服して製作を完了。このようにして、真空容器内という狭い環境で、大規模なコイルを精度よく製作する技術を確立した。
真空容器内に装着されたFPPCは、2026年に開始するJT-60SAのプラズマ加熱実験で使用される。同実験では、日本と欧州が共同で開発した制御プログラムや今回のFPPCを用いてプラズマを安定に制御/維持する。このプラズマ制御技術は、ITERで計画されているプラズマ制御を事前に検証できるレベルだという。さらに、核融合発電の原型炉で期待されている、AI(人工知能)などを活用した自動制御技術の開発にも貢献する。
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