　2025年に公開された製造マネジメントフォーラム記事の中で最も読まれたのは、ティファールの電気ケトルのリコールに関する記事「ティファールの電気ケトル418万台がリコール、電源プレートを無償交換」でした。ティファールブランドを取り扱うグループセブジャパンが2025年9月に発表した内容をまとめたものですが、その台数が418万台と非常に多いものだったことから、大きな注目を集めました。

ティファールブランドの電気ケトルの外観。無償交換の対象となるのは電気ケトル本体の下側にある電源プレートだ出所：経済産業省

　製造マネジメントフォーラムでは、品質に関する取り組みは中心コンテンツの1つですが、リコール情報については、メカ設計フォーラムで定期的に掲載しておりますので、こちらもご関心を持っていただけるとうれしいです。

≫≫リコール製品情報まとめ

　また、品質関連では、20位台となりますが、三菱電機が品質不正に対し、どのように組織風土改革を進めたのかを取り上げた「品質不正問題から立ち直るため、三菱電機は組織風土をどう変えたのか」もよく読まれています。品質不正に関するニュースもランキング上位には出てきていませんが、断続的に発表は続いており、2026年も引き続き注目していくべきテーマだと考えています。

大手企業の事業再編や体制変更が目立った2025年

　2位には、日立製作所の体制変更を取り上げた「日立が2025年度からの新体制を発表、CIセクタートップは阿部氏からコッホ氏へ」が入りました。日立製作所の2025年4月の組織変更により、主要セクターの配置の転換や、それに伴うセクタートップの人事などの内容を紹介したものです。日立製作所の体制関連では3位にもメルマガ編集後記ですが「日立GLSの売却は既定路線、それならどの会社が買うのか」がランクインしており、2025年は全体的に体制を整備する動きが活発で、そこに関心が集まったように感じます。

　同様に体制整備や事業再編などの動きが多かったのがパナソニックグループです。2024年度（2025年3月期）を最終年度とした中期経営計画の目標が未達に終わり、2025年度をあらためて構造改革の1年と定めたことにより、動きの大きな1年となりました。この構造改革に踏み出す発表をした「中期目標未達でパナソニックHDが組織再編へ、テレビや産業デバイスから撤退も視野」が6位に入った他、ハウジング事業の売却を発表した「YKKがパナソニックの住設事業を買収、2035年度に売上高1兆5000億円目指す」が8位に入りました。その他では「パナソニックグループで約2000人規模の新IT事業会社が発足へ」も9位にランクインしています。

パナソニックグループの住宅機器や建材事業を担うパナソニックハウジングソリューションズに関する株式譲渡契約を締結し、握手をするYKKの堀秀充氏（左）とPHSの山田昌司氏（右）

　その他、三菱重工業の中期経営計画の内容を紹介した「三菱重工は社内の全体最適で『桁違いのスケール拡大』を目指す」も6位にランクインしています。製造マネジメントフォーラムではなくモビリティフォーラムで扱ったため、今回のランキングには入っていませんが、2025年は日産自動車の事業再建への動きもありました。トランプ関税や為替の問題、経済安全保障、AI（人工知能）の普及など、大きく転換している不透明な時代に、各社が生き残りを懸けて、自己変革を進めている姿に大きな関心が集まっているといえるでしょう。