続いて内部アーキテクチャの一部を明らかにした、RISC-Vベースの「高性能スカラーコア」、ベクトルエンジンである「ロングベクターユニット」、AI処理を高速化する「マトリックスエクステンション」および「ラストレベルキャッシュメモリ」で構成される。これらはチップレット上に実装され、複数のチップレットをパッケージングした高密度HPCシステム向けの「BER200」(仮称)と、さらに高密度なHPCシステム向けの「BER100」(同)を、第1世代の次世代ベクトル処理ユニットとして市場に出していく計画である。
ただし、目標性能、コア数、スケジュールなどは現時点で明らかにしていない。
開発のスキームについては、次世代ベクトル処理ユニットの開発全体はOpenchipが担当する一方、NECはベクトルエンジンに相当するロングベクターユニット部分の開発、ハードウェアライセンスの提供、コンパイラやライブラリをRISC-Vに移植するなどの開発支援およびライセンス提供を担う。
完成後はNECがOpenchipから次世代ベクトル処理ユニット(BER100またはBER200)を購入して、SX-Aurora TSUBASAの後継システムに搭載して提供していく考えである。
百瀬氏は講演の最後で「NECは顧客のニーズに応じて、x86ベース、GPGPUベース、さらにはベクトルベースのスパコンシステムを提供してきた。ベクトル型については、今回発表したOpenchipとの協業により、SX-Aurora TSUBASAの電力効率の高さを継承しつつ、RISC-VのエコシステムやAI機能を融合させた高性能なシステムの実現を目指していく」と述べている。
Openchipは、EU圏におけるプロセッサのイニシアチブを確立することを目的に、バルセロナスーパーコンピューティングセンターなどによって2021年に設立されたファブレスのエンジニアリング会社である。開発中の次世代ベクトル処理ユニットはEUを中心とした科学技術計算基盤において重要な役割を果たすと期待されており、NECが培ってきた40年来の技術が新たな価値を生み出していくことになるだろう。
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NECのベクトルプロセッサが進化、性能は2.5倍で電力効率も2倍にCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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